中学生に人気のオンライン塾・数学&理科専門講師KO-HEIです。
今日は「中学生の塾選び」についてのお話です。

実は「塾の選び方」は中学生が一番慎重にならなければならないのですが、何処か安易に選ばれる傾向にありますので、敢えて“中学生”に限定して進学塾の選び方についてアドバイスします。

小学生の進学塾選びは大半が「中学受験」が前提にあり、大手中学受験塾か大手の準拠塾に通い、大手塾の教材を使ってカリキュラム通りに指導が進められます。
その教材はかなり思考力を身に着ける内容であり極端な話、塾のレールに乗っかってさえいればある程度の思考力は身につき習得ができます。

それに対して、中学生の「塾選び」はそうはいきません。
中学生対象の塾は大半が地域密着型で、地元の中学校の授業に準拠した塾が殆どだからです。
そもそも中学生の学力を測る物差しは、定期試験に重きを置かれた成績表しかありません。
生徒も親御さんも「定期試験」対策をしっかり成し遂げてくれる塾に好感を持つのは当然のことでしょう。

そのためどうしても通っている学校の情報に詳しく、〇〇中学(通学している学校)定期試験対策実施中!などの看板に魅かれて『安易に塾を選ぶ』傾向にあります。
勿論、学校の定期試験対策が勉強の基本なのですが、問題なのはその定期試験対策の勉強法が本当に思考力を身に着ける学習になっているか!ということです。
誤解して欲しくないのですが
地域密着型の塾も多くの素晴らしい塾はあり、決して「地元の塾」を否定するものではありません。

ここでお伝えしたい「安易な塾の選び方」とは、
・“取りあえず”定期試験対策をしてくれれば良い
・“取りあえず”成績がアップすれば良い
・“取りあえず”勉強習慣が身につけば良い
と通塾させてしまうことに問題があります。

私は理数専門の講師ですので数学をメインにお話しますが、中学数学は小学算数から一変します。
つまり、中学数学は小学算数の内容を数式化した学習から始まりますが、“その数式の意味をしっかり理解した上での学習になっているか否か”が今後の理数系科目に大きな影響を与えることになります。

具体的に説明をすれば
中学1年生で習う1次方程式では殆どの生徒が計算問題は出来ますが、「文章問題になると解けない」「文章問題が苦手」と苦戦します。
更に中学2年生で習う連立方程式でも加減法や代入法など悩むこともありますが、大半の生徒はある程度トレーニングをすれば計算は出来るようになります。
しかし、応用問題になると解けません。この応用問題が殆ど「文章問題」です。
つまり、算数を数式化した計算は出来るのですが数式の意味が理解出来ていない為に「文章問題」や「応用問題」になると歯が立ちません。

なぜ、このような現象が起こるのか?
理由は数式の意味を理解せず、数式を使い熟すこと(計算)にばかり重きを置いた学習習慣になっているからです。
このような生徒は問われている問題のイメージが全く持てません。
問題の現象を頭で想像することが出来ませんので、ひたすら「分からないものをXと置けば解ける」感覚で解こうとします。
その出た答えが何を意味しているのか!分かっていませんから、たとえあり得ない数字になっても平気で解答欄を埋めます。
つまり、全く思考力を要せず単なる計算練習のような手作業的な数学の勉強法に問題があるのです。

更に手作業の勉強が習慣になってしまいますと「取りあえず公式に当て嵌めればよい」症候群に知らず知らずのうちにかかります。
例えば、中学1・2年生の関数です。
Y=aX+b、Y=aX2のグラフが何を意味しているのか!
全く理解せず、「関数はこの式に取りあえず代入すれば良い」感覚で、またまたa、b、Xの値を計算して解きます。
「関数は簡単!」と単なる計算練習に過ぎないレベルで出来た気分になります。
中学校の定期試験程度なら何とかこれでもクリア出来るかもしれませんが、高校受験ではとても解答できません。
それどころか高校入学後、高校数学1Aの内容が理解出来ず数学が単なる記号の羅列にしか映らない重症化になりかねないのです。

一方、小学算数で中学受験に向けての学習をして来た生徒は、「つるかめ算」「過不足算」「相当算」「消去算」などあらゆる〇〇算と言った内容で、中学数学で学ぶ方程式のX,Yを「リンゴ」「みかん」に置き換えて具現化して学んで来ました。
数式を全く使わず、頭の中でリンゴやミカンをイメージして解いて行きます。
中学受験は賛否両論ありますが、少なくとも中学数学で学ぶ数式の意味は中学入学時点である程度理解できていると言えます。
数式の意味から理解している生徒とそうでない生徒では、今後の応用問題や文章問題で雲泥の差が出ます。これは当然の結果と言えるでしょう。

「私が中学の塾選びが一番大切である」と言うのは、数学のスタートである中学でしっかり数式の意味まで教えて、問われている問題を頭で具現化出来る指導を受ける必要があるからです。

ところが、中学生対象の塾は「定期試験の成績アップ」で好感度を上げることが目的になり、生徒の「定期試験対策」ばかりに気を取られ、「点数を1点でも多く取る」ことが目的の勉強法になる傾向にあります。
勿論、生徒も部活後など疲れ切った後の塾であり時間的に限定されるのも納得ですが、試験の結果ばかりに目を向け「こうして解く」「このやり方で解ける」と言った解法のテクニックばかりの指導が習慣化すると確実に数学は出来なくなります。
生徒もこのような指導ばかり受けていると無意識に「意味が分からないがこうしたら解ける」「このやり方をすれば点数が上がる」とその場しのぎの勉強が当たり前になっていきます。
定期試験ならそれでもある程度点数がとれ何となくスルーできますが、これが3年後の高校受験、その後の高校数学に大きく響いてしまうのです。

更には、この当たり前の手作業の学習を「勉強」と思い込み「考えるとはどういうことか」分からなくなります。
指導者が「もっと考えて勉強しよう」とよく唱えますが、実は手作業の学習が習慣化した生徒には「考える」こと自体が分かりません。
ここまで「考える」学習から遠ざかった生徒に「考える数学」の指導をしても興味が持てず、疲労感ばかりで「数学」から遠ざかって行きます。
「数学苦手だから何とかクリアできれば良い」「数学のない学校選び」に落ち着こうとします。

解法テクニックばかり身に着ける勉強法が習慣化しますと、中々その習慣が取れません。
考えなくても手作業である程度の点数が取れてしまうために、本人も「これで良い」「これで点数が取れる」と変な自信がつき改善しようとしません。
ところが、高校数学で大半が「数学が分からない」「数学が出来ない」と嘆き始めますが、その時にはもう遅し!
中学3年間で身に着けた癖・習慣は中々捨てきれず、先述の通りそもそも「考えるとはどういうことか?」すら分からない現象に陥ってしまいます。
それくらいに解法テクニックに固執した勉強法は、理数系の学問にダメージを与えるのです。

中学数学は数学のスタートラインです。
ここで方向性を間違えず思考力がしっかり身につく学習指導を受けることが、大学受験にまで響いていきます。
是非、『安易な塾選び』をせず、慎重に納得できる塾選びをして下さい。

通塾する塾が単なる解法テクニックや計算練習に重きを置いた塾ではなく、しっかり数式の意味から「なぜそうなるのか?」根本から指導をしてくれる塾か否か、しっかり見抜くことが中学数学だけでなく高校数学にまで響くことを伝えたく解説しました。

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