【中学受験合否は理科で決まる!】 2025年度の中学受験も終了し、もう既に来年の入試に向かって新6年生の受験勉強はスタートしました。 今年の受験もここ最近の受験と同様に厳しい戦いでした。 その理由としては、学校側の体制の変化・多様化があるように感じます。 志望校の男子校・女子校から共学への変更、受験科目の変更や配点の変更だけでなく、国際化に向けてグローバル入試による英語重視や帰国生入試の増加、理数科目の強化による算数一科目受験の採用、英検や算数・漢字検定の評価の導入など、志望校の教育体制や入試の多様化により、多くの受験生が工夫を凝らし様々な方法・手段で受験し合格を勝ち取ることが出来るようになったことが挙げられます。 数年前迄は中学受験専門塾で塾のカリキュラムに沿って学習し、日曜テスト等で確実に偏差値をキープしていればある程度の志望校に入学できることが予め見えていた時代でした。 しかし,ここ最近は 塾のカリキュラムに沿った学習から外れ、英語・算数・漢字検定試験や通塾せず算数一科目のみに特化した学習で上手く合格を勝ち取ると言った違ったルートから受験に挑む生徒が増加傾向にあり、全く塾の偏差値だけでは合格の目途が立たない時代に突入して来たことを今年の受験でも痛切に感じました。 言い換えれば、 有名中学受験塾のカリキュラムに沿って日々学習し、日曜テスト(合不合テスト)の偏差値による合格判定のみで受験に挑むようでは満足できる結果に至らないようになって来たということです。 志望校の受験体制の変更、受験方法の多様化などの情報をしっかり把握して、その生徒にとってベストな受験方法を早めに探り対策をとることが重要な課題です。 最早「中学受験の為に有名中学受験塾に早くから通塾し、日曜テストの成績をアップ・上のクラスに上がることが合格を勝ち取る結果に繋がる」といった考えは通用しなくなって来たと言えるでしょう。 「英語や算数に特化した勉強で一科目受験に挑む」 「英語検定や算数検定、漢字検定などに日々挑戦し検定試験で得点を稼ぐ」 などの方法・手段で合格を勝ち取ることも十分に可能であり、何処か余裕を持って受験に挑めるのかもしれません。 是非、参考にしてみて下さい。 では早速今回のテーマ『中学受験合否は理科で決まる!』に入りましょう。 「受験方法・手段の多様化」とは言っても、まだまだ4教科受験が一般的であり志望校の選択において門戸が広いのは事実です。 大半の生徒は中学受験専門塾に通塾し、塾のカリキュラムに沿って各単元を学習し受験に向けて4年生頃から準備を始めているのが一般的でしょう。 その塾に沿った学習では国語・算数の2教科は指導日数・時間とも(理科・社会よりも)ウエイトが高く、また日曜テストなどでも配点が高いため国語・算数に意識が向きがちです。 『先ずは算数と国語』『理科・社会はまだまだ後から』と安易に考えるケースが多く見られ、6年生になっても余裕の無い生徒に於いては『理科・社会は最後に“追い込み”で何とかなる!』と思い込んでしまうケースも少なくありません。 しかし、 結論から申しますと『理科は“追い込み”で何とかなりません!』(社会に関しては分かりませんが・・・・) 実は理科は4教科の中で一番「考える力」を要し、出題範囲が半端なく広く奥深く、理屈を分からずしては全く歯が立たない科目なのです。 「どういうことか?」具体的に説明しましょう。 『理科の入試問題では算数のように正答を導くだけで終わらず、その正答を導いた“根拠”が問われる問題が出題される傾向にある。』 【問題例】 「Aさんは公園で蟻を見つけて家に持って帰りました。蟻を机の上に置いていましたが目を離したすきに落ちてしまいました。「あっ!」と思って恐る恐る蟻を確認したら無事でした。そこでAさんは疑問に思いました。蟻が耐えられる高さって一体どれくらいなのか?」 貴方もAさんのような体験はあると思います。 一体、蟻が耐えられる高さはどれくらいだと考えますか? 是非、○○中学の受験を機会に『蟻について』考え、貴方がそう考えた理由を説明しなさい。 理科の入試問題では、このように実生活で起こりがちなテーマが文章形式で出題され、根拠を持って解答させる出題傾向が増加して来ました。 実生活での体験から勘を働かせて、蟻の耐えられる高さを「5m」「10m」「100m」等と答える生徒もいるでしょうし、知識があり「どの高さでも耐えられる」「全ての高さで耐えられる」と正答を導ける生徒もいるでしょう。 算数の問題ならば正答した生徒にはこの時点で加点されますが、理科では正答しようとしまいが何も加点されません。 「蟻はどの高さにも耐えられる」と正解したとしても、その根拠を自分の言葉で説明出来なければ加点されないのです。 この問題例に関する内容は大手塾のテキストでは「運動・てこ」の単元になりますが、「物の運動」というテーマでほんの約1ページ程度に解説されているに過ぎません。 それも「“運動の法則”には静止・慣性の法則・作用反作用の3つの法則がある」と言った知識の解説がなされているに過ぎず、大半の生徒はこの“3つの法則”を記憶した程度であり、これらが「なぜ起こるのか?」或いは「どのような現象として実際に起こっているか?」などまで奥深く考えた学習はほぼ皆無に等しいと言えます。 受験生の大半は初見の問題であり日常の自分の経験、思考から根拠を導いていかなくてはなりません。 この入試問題は「虫」を題材に日常生活で起こり得る自然体験を通じて「慣性の法則」の理解度を測ったと言えるでしょう。 日頃の学習が知識の押し込みではなく奥深くまで理解し、学んだ内容を如何に日常生活で有効活用しているか否かが試されたと考えます。 恐らく生徒達に「運動の法則を答えなさい」という問題であれば「静止・慣性の法則・作用反作用」とすかさず答えるでしょう。 しかし、残念ながら最近の入試問題ではテキストに掲載されている知識問題を解答させる問題等は出題されなくなってきました(それだと大半の生徒が正答しますので・・・)。 つまり、志望校の入学試験では、塾のテキストで学んだ程度の知識は「知っているのが当たり前」であり、その知り尽くした知識を根本から理解し活用出来るまでの能力が問われるのです。 そこまで能力を鍛えるには、とても「最後の“追い込みで何とかなる」わけがないことは納得できるでしょう。 また 『理科の出題範囲は限りなく広く奥深くどの塾の優れたテキストで学習をしていても、テキストの解法や塾講師の解説を理解しただけでは限界がある』 【問題例】 「皆さんは日頃、豆腐を食べると思います。豆腐は知っている通り柔らかく、そのまま何個も積み重ねると下の豆腐は潰れてしまいます。 しかし、スーパー等では容器に入った豆腐が何個も積み重ねられて販売されています。 何故、容器に入った豆腐は何個も積み重ねられても柔らかいのに潰れないのでしょうか。 どのような工夫がなされているのか? そして、そのような工夫をすることで何故、潰れにくくなるのか? 以下の内容を踏まえて説明しなさい。 ①ピーチボールを教室の床で弾ませた時、空気があまり入っていないボールよりも空気が沢山入っているボールの方がよく弾む ②空気を入れたペットボトルを潰すために力を入れると力を入れれば入れるほど手応えが大きくなる。最後まで押しつぶせそうだが、最後まで押しつぶすことは出来ない。 [...]
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