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2023年11月9日 : 中学受験の学習は教え方次第!思考力に雲泥の差が生じる!
中学受験の学習は教え方次第!思考力に雲泥の差が生じる
(注)こちらの投稿は算数・理科と言った理系思考力に特化した内容となっております。
中学受験を目指す子供達はほぼ中学受験進学塾に小学4年生頃から(遅くとも5年生には)約3年間通塾して受験準備をします。
子供達が通塾する大手進学塾は何処も研究に研究を重ねオリジナルの教材を制作し、その完璧な教材のカリキュラムに沿って受験専門講師が指導をしていきます。
その教材は本当に優れており小学生の子供達にあれやこれやと考えさせたり、公式を駆使しないで自然に自分の頭で問題の解法を導かせたり、より奥深く公式の意味まで理解させるなど・・・・時には高校数学で学ぶ単元を小学生でも理解出来るように工夫を凝らしているのは驚くばかりです。
この優れた教材を専門講師が3年間、しかもとても頭が柔らかい子供時代に指導するのですから思考力が身につき頭脳が良くなるのは当然かもしれません。
私個人的には、中学受験をする・しないに関わらずどの子供達にもこの優れた教材を使って学習をして欲しいと思います。
何故なら中学~高校と進学するに当たって、この優れた教材を使って小学時代に学習したことはかなり今後の「理論的に考える力」「数学力」になるからです。
実際に2022年度の共通テスト(数ⅡB)では、高校数学で習う数列と中学受験で小学生が学ぶ旅人算を絡めた内容が出題されました。
私が指導をしていた高校生(中学受験の経験無し)は数列には理解できていましたが「旅人算(グラフ)」の考えに気づかず共通テスト大問の(1)から失点でした。一方、試しに小学6年生の教え子に解かせてみたら当然高校数学の数列(漸化式を使った解法)の問題は解けませんでしたが、旅人算(グラフ)の問題は解け大問の(1)は正解したと言う衝撃的な思い出があります。
2023年度の共通テストでも数学ⅡBで複利計算と漸化式を絡めた問題が出題され、貯蓄や投資に興味がある生徒には仕組みがよく分かり有利に働いたでしょう。
以前のセンター試験とは違い共通テストでは高校数学の知識だけでなく、中学数学いや小学算数の学習、更には数学知識だけでなく日常の社会経済が絡み合った内容までもが出題されていることからも小学生時代からの奥深く考える力や様々な事象に興味・関心を持つことが今後の学習に如何に大切か!を実感しています。
繰り返しになりますが、大手中学受験進学塾が制作している教材は日常生活に密着した内容であり且つ公式を出来る限り駆使することなく線分図や図案を描いて考えさせる学習で、確実に「子供の頭を良くする」ことは間違いありません。
しかし、最近の中学受験進学塾の講師の指導法や学習法を見ていて私が小学時代に指導を受けたプロ塾講師の指導法とはかなり差異があると実感します。
時代の変遷と共に指導法も移行していくのは勿論納得出来ますが、「中学受験の学習は思考力を身に付ける」と断定出来ない指導法になりつつあることを危惧して止みません。
どういうことか?具体的に例を挙げてみましょう。
【小学4年生で学ぶ数列の問題】
『あるきまりに従って、以下のように数をならべます
3、9、15、21、27・・・・・
(1)左から20番目の数はいくつですか?
(2)左から順に20番目の数まで加えると、その和はいくつになりますか?』
実はこの数列の問題は高校数学でも学びます。
高校数学では
数列の一般項の求め方=初項+公差×(n-1)という公式で学びます。
同じ問題を小学算数では
9~3の差は6、15~9の差も6、21~15の差も6・・・・・
つまり、6ずつ増えた数字が並んでいます。
20番目の数は6を何回増やした数かというと、1番目から20番目までは間の数は19個だから(植木算より)19回増やした数=19×6=114
しかし3からスタートしているから3を加えて114+3=117
いかがでしょうか?
高校数学で初項a、公差d、nを自然数とする一般項an=a+(n-1)dと難しく学び、意味も分からずこの公式に代入して解く高校生が多い中、小学算数ですでに高校数学の公式の意味を理解して解く学習を身に着けています。
結果、高校で数学を学習する時には全く一般項などの公式は必要なく簡単に解答が出来るのです。
更に(2)では高校数学では等差数列の和Sn=項数/2×(初項+末項)といかにも難しく見える公式を学習します。
しかしこの数列の和の公式も(ここでは割愛させていただきますが)小学算数の教材には「何故こうなるのか?」がしっかり解説されており、“通常は”塾でも講師が図案で詳しく指導してくれます。
そのため高校入学後、数学で学習する数列は全く新知識ではなく当たり前のこととして授業を受けられました。
中学受験で学習した生徒は明らかに高校数学の数列では、数列の本質の意味が理解出来ており公式を記憶していなくても自分で組み立て解法する力を身に着けていたのです。
しかし昨今の塾指導にも異変が生じていると感じます。(全ての塾に該当するワケではありません)
私が指導する大手塾に通塾している生徒の中には、平気で「□番目は初めの数+公差×(□-1)だから・・・・」と得意気に公式を唱えて代入して求める子供が多く見受けられるようになりました。
「塾講師自身、中学受験経験が無い」「公式で覚えさせた方が効率的」「公式の意味を解説する授業時間が無い」など様々な理由が考えられますが、これでは中学受験の学習をしても「論理的思考力」は全く身につきません。
身につかないどころか、「自分は高度な公式を知っている」「高度な解法を知っている」といった自尊心ばかりが募り、更に「公式を記憶することで算数(数学)が出来るようになる」と錯覚を起こし、更に更にこれが習慣化すると、中学、高校と進学するにつれて「解法テクニックの記憶頭脳」化してしまい、飛んでもなく「論理的思考力」が欠け「考えること」自体が分からなくなると言った悪化の一途を辿る羽目になりかねません。
『絶対に避けたい指導』と言えるでしょう。
中学受験の指導法に於いて、数列だけでなく多くの単元でこの危険性が目立つようになってきました。
折角、塾が長年にわたって苦労を重ねて制作した優れた教材もこのような学習法では意味がありません。
典型的な具体例を少し挙げましょう。
先ずは「場合の数」です。
【1.小学5年生で学ぶ場合の数の問題】
1.『A.B.C.D.E.F.の6人の班で班長と副班長を1人ずつ選びます。班長と副班長の選び方は何通りですか?』
2.『A.B.C.D.E.Fの6人の中から2人の日直を選びます。選び方は何通りですか?』
これらの場合の数の問題は高校数学で順列(P)、組み合わせ(C)で学習します。
小学算数では嘗ては先ず一度樹形図を書かせて数えるところから学びました。
そして、1.と2.の問題の違いを実体験して「2.の問題では何故÷2をするのか?」を理解させる指導法でしたが、最近は塾講師が平気で「1.の問題は6P2だから6×5の30通りだね」「2.の問題は6C2だから6×5÷2×1の15通りだね」と指導をしている機会を見受けます。
生徒は「P?C?」「なぜCだと÷の?」と不思議に思うもスルーして学習します。
2.の問題で私の塾では一度生徒に樹形図を書かせます。
すると「あっ!2回同じものを数えている~」と子供は実感し『なぜ2.の問題は2で割らなければいけないのか?』が理解出来るのです。
が、このような実体験からの気づきを与える講師の指導が薄れている危機感を感じます。
更にこんな実例もあります。
【2.小学6年生で学ぶ「速さと比」の問題】
『A君は毎朝同じ時刻に家を出て学校へ行きます。分速90mで歩くと8時25分に着きますが、自転車に乗って分速300mで行くと8時11分に着きます。A君が毎朝家を出る時刻は何時何分ですか?』
実はこのような問題も中学数学の“方程式”の単元で応用問題として学習します。
が、方程式を学習していない小学生の算数では本来、以下のように指導をすることで子供の「論理的思考力」が身につきました。
【指導者】
「歩きと自転車では速さの比は何対何ですか?」
【生徒】
「90m/分:300m/分だから3:10」
【指導者】
「そうだね~!簡単に言えば1分間に歩きだと③、自転車だと⑩進めるってことだね!」
「だとしたら、同じ距離を歩くのと自転車だとかかる時間は何対何になるのかな?」
【生徒】
「う~ん?歩きの方が少ししか進まないから、沢山時間がかかるよね!そっか!その比の逆でかかる時間の比は歩き:自転車は10:3 」
【指導者】
「そうそう!同じ通学路を歩くと時間は10かかり、自転車だと3で到着するってことだね」
「つまり、歩くのと自転車では10―3=7の時間差があるってことになるね」
「だとしたら、今同じ通学路を歩きと自転車では25分-11分=14分の差があるってことだから、この7が14分。1は2分って分かりました。」
「歩きにかかった時間は10だから10×2分=20分かかったことになるね。家を出る時間は20分前の8時5分が正解」
いかがですか?
嘗てはこのように公式を駆使することなく、頭でイメージをして(慣れれば)計算すらすることなく簡単に解答に誘導する指導がなされてきました。
しかも、一つ一つ理論的に考える思考力を楽しみながら導いていきました。
更に、公式を駆使せず小学算数なら以下のようなユニークな解法も出来ます。
【指導者】
「歩きと自転車は同じ通学路だから、仮に自分で距離を○mと設定してみましょう」
「1mでも100mでも良いけど、1分間に90m、300m進むってことだから計算しやすいように900m(90と300の最小公倍数)に設定してごらん!」
「90m/分の歩きだと何分かかる?自転車だと何分かかる?」
【生徒】
「歩きだと900m÷90で10分、自転車だと900m÷300で3分。差は7分。あっそうか!今14分の差だから距離が2倍。通学路は1800mってことだ!かかった時間も2倍して歩きだと20分かかったってことだ」
【指導者】
「そうそう、こんな考え方も出来るね。」
このように、公式を駆使しなければ様々な考え方で解法を導くことができ「柔軟な考え方」ができる様になるのです。
この「柔軟性」が今後の「数学力」に大きな影響を与えると言っても過言ではありません。
ところが最近の塾では
「歩く時間を□分、自転車の時間を(□-14)分と置きます。同じ距離を進む時間の比と速さの比は反対になるから、歩き:自転車の速さの比は90:300=3:10が反対になり・・・
歩きにかかる時間:自転車にかかる時間=10:3=□:(□-14)
3×□=10×(□-14)
3×□=10×□-140
7×□=140
□=20
「歩きにかかった時間は20分ですね」
このような指導を受けている生徒を多く見受けるようになりました。
これは中学生の方程式による解法です。
『中学生の先取り指導を受けることは受験に有利』と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは小学時代の「自分で考える力」を身に着けてこそ意味があることであり、まだ算数の力が完璧でない子供にこのような先取り学習をすることは益々「考える力」を阻止することになりかねません。
このような「公式を組み立てる」学習法が小学時代から習慣化すると現象を頭でイメージすることが全く出来なくなります。
現象が頭でイメージ出来ないと、中高生での理数系科目は先ず出来なくなります。
ほぼ数学が苦手な生徒は公式を組み立てることにばかり執着し、現象をイメージして考える力が身についていないことに原因があります。
これは小学時代からの「考える力」を育ててこなかった点に問題があると言っても過言ではありません。
そして恐ろしいことに考える力が乏しい生徒は、中学~高校数学と難しくなればなるほど
公式に依存した学習法に傾いていきます。
「どの公式を使えば解けるのか?」にばかり執着し、遂には「解法のテクニックの記憶頭脳」化し中高時代の理数系科目に苦戦する結果になることは明らかです。
「考える力」を身に着けるには、
『出来る限り公式を教えない・使わない』
『実践して「何故そうなるのか?」に気づかせる』
塾講師がこの点に徹した指導法をすることが大切と感じます。
また最近は
・線分図や図案を書かない
・ノートが中高生のように綺麗に公式が羅列している
・棒人間などを書いて問題の現象を絵でイメージしない
生徒を多く見受けます。
算数の現象をイメージするには絵、図案、線分図をあれやこれやとノートに書きまくることで理解が深まり、「考える力」が育成されるのです。
この作業なくして「思考力」は決して身につきません。
このような学習法がもし習慣化していないなら、通塾している講師の指導法を今一度見直してみましょう。
折角素晴らしい教材があるにも関わらず、指導法を誤ると思考力を身に着けるどころか「解法テクニックの記憶頭脳」ばかりを育成してしまい、これが厄介なことに中学~高校にまで影響を与えかねないことに親御さんも注意が必要です。
『同じ教材で学習をしていても、指導法で子供の思考力に雲泥の差が生じる』のです。
「塾で学習しているから大丈夫」と過信しないで、時には「どのように学んでいるのか?」「どのような指導を受けているのか?」実際にノートを見て指導法を確かめるなどに努めて欲しいと願います。
繰り返しになりますが
『中学受験の学習は教え方次第!思考力に雲泥の差が生じる!』のです。
2023年8月22日 : 間違えるな!中学受験・秋からするべきこと
『間違えるな!中学受験・秋からするべきこと』
(注)こちらの投稿は
・中学受験生の中でも小学6年生の受験生対象
・私は算数・理科専門講師ですので算数、理科に特化した内容
でありますことをご了承下さい。(小学4~5年生対象の解説はまた改めてお伝えしたいと思います。)
中学受験生、殆どの小学生が夏休み中「塾の夏期講習漬け」で過ごしたことだと思います。
予定通り満足した学習ができた人、思ったよりも出来なかった人などそれぞれでしょう。
また、夏休み明けの公開テストはいかがだったでしょうか?
・夏期講習の成果が顕著に現れて成績アップした生徒
・手応えを感じて自信に繋がった生徒
一方
・思ったよりも成績に結果が出なかった生徒
・頑張って夏期講習に通ったにも関わらず“期待はずれ”に落胆の生徒
・夏休み前と全く変化が無く、これからの受験勉強に少し自信を失った生徒
などそれぞれだと思います。
どうであれ結論から申しますと、ほぼ夏期講習の成果は「期待していた程“結果が顕著に現れていない”生徒が多い」ということです。
理由は
進学塾の夏期講習の内容は殆どのカリキュラムが
『全ての単元を総まとめする』授業だからです。
夏期講習前に学習した6年生1学期までの単元(カリキュラム)が全て“ほぼ完成”している生徒には夏期講習の“総まとめ”授業は自分の完成度の再確認が出来、充実した学習になりました。
しかし、そうではなく6年生1学期までの(単元の)完成度が低い生徒にとっては、理解が定着していないにも関わらず、理解しているものとして塾の講師から“総まとめ”の指導を受けても「曖昧な授業」「何となく参加した」結果で終了したことでしょう。
残念ながら、6年生の夏期講習までにほぼ(カリキュラムが)完成し、塾講師の“総まとめ”の授業を完璧に習得出来る生徒は少ないのです。
・何となく「こんなこと以前学習したなぁ」
・「前もこの単元は分からなくてテスト悪かった」
・「この単元苦手~」
このような生徒から中には
・「全く分からない」
・「こんなこと以前習ったっけ?」
と初めて学ぶ感の生徒もいます。
このような状況で夏期講習の“総まとめ”的な授業に参加していても理解は深まらず結果、夏期講習後の公開テストで成果が出ないのは当然と言えば当然の結果と言えます。
つまり、夏休み後の成果に期待を膨らませて高額な費用を支払って長い夏休みを全て費やした夏期講習は、上辺だけの学習で理解が深まらないで終わった傾向にある生徒が多いのです。
この長い夏休みを如何に効率良く学習し、夏期休暇後の公開テストで成果を上げるか!には
①各単元の完成度を分析
夏休み前迄のテスト結果から各単元の完成度を分析する。
例えば
・割合の単元は、ほぼテストで正解しているから理解度は完璧
・図形の分野は、テストでの正解率が7割程度だからまだ不十分
・速さの単元は、テストでいつも点数を落としている
など
何処で得点を落としているのか?
何の単元が苦手なのか?
を夏休み前にしっかり分析をしておく。
②苦手単元を徹底的に指導
・何処で躓き、何処から分からなくなったのか?詳細な分析
・線分図、図案を書いて解く解法の定着
・類似問題で繰り返し演習
・理解定着後、発展問題で応用力をつける
③計算、一行問題などの基礎トレーニング演習
・一行問題、基礎問題の演習で、解法スピードを上げる
などの学習を夏休み休暇中にしておくべきでした。
しかし、これらの事項は生徒一人一人が千差万別であり塾側ではとても対処出来ないのが現状です。
なので“総まとめ”として広く浅くの授業を行い全ての生徒に配慮した夏期講習が開催されました。(が、結局のところ先述の通り、理解度は深まらず上辺だけの学習で終了した感は拭えません)
このような経緯が原因で、夏休み後の公開テストで「期待はずれ」の結果になっている生徒が多いと言えます。
更に、この「期待はずれ」の成績が生徒や親御さんを2学期以降悩ませます。
いよいよ秋以降は“志望校対策”などのフレーズが塾側から聞こえ始めます。
① 志望校を目指すには、“塾の志望校対策”を受講するのが不可欠。
② その為には自分の志望校対策をしてもらえる〇〇コース(クラス)に席を確保しなければいけない。
③ その為には〇〇コース(クラス)を確保出来るだけの成績を塾の公開テストで獲得しなければならない。
塾によっては9月~11月の公開テスト(〇〇〇育成テスト、〇〇〇実践テストなど)でクラス編成がありますので親子共々この公開テストに神経質になり、必死になって公開テストに向けて勉強をする生徒が秋以降増えます。
が、実はこれが入試に大失敗する原因になりかねないということです。
結論から言えば
『秋以降、塾の〇〇コース(クラス)はどうでも良い』
ということです。
夏休み迄は、上位コース(クラス)を目指して学習することはモチベーションアップに繋がり、目標にもなり推奨します。
しかし秋以降は、〇〇コース(クラス)云々よりも
『如何に志望校に合格をするか』にベクトルを大きく向けることが大切なのです。
でも『塾の〇〇コース(クラス)に席を置かないと志望校対策をしてもらえないから・・・・』
と、コース(クラス)編成の重要性を唱えられる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、率直に言えば貴方の志望校対策を塾が完璧にすることは皆無に等しいと言うことです。(難関コース、貴方の通っている塾が看板にしている中学校を志望するなら多少は期待出来ますが)
塾の志望校対策は、同程度の偏差値の中学校の過去問を“部分的”に解いていく授業になります。
詳しく言えば、偏差値50~55のコース(クラス)に在席する生徒は、貴方の志望校の過去問を演習すると言うよりも、偏差値50~55の生徒が目指す様々な中学校の過去問を“部分的”に指導をしていく授業であると言うことです。
決して貴方の志望校の過去問“のみ”徹底的に指導をしてくれることはありません。
『志望校と同レベルの中学校の過去問演習を塾が指導をしてくれるなら十分!』
と判断される親御さんもいらっしゃるでしょう。
しかしその考えは甘く、これまでこの塾の対策で合格を逃す羽目になった生徒も少なくありません。
理由は
① 同レベルの中学校とは言っても各々の中学校で入試の出題傾向が全く違うからです。
詳しく言えば、例えば貴方の志望校A中学校では問題数は少ないが、試験内容の難易度が高く、時間をかけて思考力が問われる問題が出題される傾向が高い。
一方同レベルのB中学校では問題数は多いが、試験内容の難易度は平均的であり、解くスピードと正確性が合否を決める問題が主に出題される。
など、同レベルの中学校でも全く各々出題傾向に大きな差異があるということです。
A中学校を志望する生徒がB中学校の過去問演習をしていても、何も自分の志望校対策にも、合格を勝ち取る対策にもならないのです。
A中学校の対策には様々な難問を思考する忍耐力が必要ですし、B中学校の対策にはスピード感と正確性が必要です。
② 先述の通り、塾の志望校対策とは言っても、貴方の志望校の過去問を“全て”解説されることはほぼ無いからです。
塾の過去問対策の授業は“部分的”にしか貴方の志望校の過去問を演習、解説をしてもらえません。(難関中学校や塾の看板とする中学校は除く)
理由は〇〇コース(クラス)と言っても30名程在席する塾生各々志望校は千差万別であり、一人一人に合わせて対処することが不可能だからです。
本来過去問演習とは
① 試験時間を厳守して本番の気持ちで解けるところまで全て解いてみる
② 解けなかった問題、間違った問題を再度自分でやり直してみる
③ ②で分からなかった問題を塾講師に指導してもらい徹底的に理解する
④ この①~③の手順で志望校の過去問10年間分を解く
⑤ ①~④を3回繰り返す(理想は1回目:10月、2回目:12月、3回目:入試直前)
ことを意味します。
そして、過去問対策とは
・時間厳守で解くことで、志望校の試験の時間配分を自分で習慣付ける。
つまり、大問1には5分、大問2には10分など自分である程度目安をつける。
・過去問10年間分を解くことで、志望校の試験内容の傾向が分かる。
つまり、10年間分の過去問を吟味すると大まかに志望校の出題傾向が見えて来ますので、その単元を徹底的に演習する。
・過去問を3回繰り返すことで、志望校の試験内容や傾向、解法の特徴などが頭ではなく身体に染み付き、試験本番に「こんなはずではなかった」と言った失敗が避けられる。
ことを意味します。
しかし残念ながら、塾の志望校対策はせいぜい貴方の志望校の過去問1~2年分の1~2大問を演習し解説してもらえる程度で、上記のような演習、対策を熟すことは難しいのが現状です。
つまり、志望校に合格する為には
『塾の〇〇コース(クラス)に在席する』
『塾の〇〇コース(クラス)にさえ在席出来れば合格を勝ち取れる』
と言う概念は全く通用しません。
塾の〇〇コース(クラス)に在席すれば貴方の志望校で合格点が加算されるなら、大いに公開テストに力を入れて欲しいのですが、貴方の塾の成績など全く志望校の入試には関係ないのです。
更に危険なのは
塾によっては『〇〇〇判定テスト』と言った塾オリジナルの模試を実施します。
この模試は志望校の合格率を数値化し判定しますので生徒も親御さんもかなり神経質になり、模試の成績を上げる為に必死になって塾教材の勉強にばかり力を入れて学習している生徒です。
塾の模試はあくまでも“塾”の制作であり、貴方の志望校の試験は塾の制作では無いことを、しっかり念頭に入れて置きましょう。
塾のオリジナル模試は塾が企画した模試です。
志望校と出題傾向が違う問題を基準にして合格率を判定していても(目安にはなりますが・・)その判定の信憑性がどれだけあるか?は少し冷静に判断するようにしましょう。
つまり、過去問を解くと納得出来ると思いますが、過去問と塾の教材や模試では問題形式が違います。
出来る限り志望校の試験の問題形式に慣れることが、合格を勝ち取るには最重要です。
秋以降は志望校の過去問を手掛け徹底的に志望校対策に力を入れなければならないにも関わらず、いつまでも塾の教材や「〇〇〇判定テスト」に拘った学習を続け、過去問演習を軽視して年明けてから慌てて過去問に目を向けるようでは、とても合格を勝ち取ることは出来ません。
秋以降は公開テストから貴方の志望校の過去問演習、対策に大きくシフトして下さい。
塾の志望校対策とは言っても、貴方中心に塾は志望校対策をしてもらえません。
「塾の〇〇コース(クラス)に在席して、塾で志望校の過去問演習、対策をしてもらったら大丈夫だろう!」など過信するのはとても危険です。
先述の繰り返しになりますが、しっかり貴方の志望校対策は親御さんの協力のもと
① 志望校過去問10年間分を準備して、時間厳守の中解いていく。
② 解けなかった問題、間違った問題は解答を見ながら解き直しをする。
③ それでも分からなかった問題は塾講師に授業後質問する。
④ 過去問は1度ではなく少なくとも3回繰り返して(1回目は10月、2回目は12月、3回目は直前)解く
を塾に依存せず自分で進めていくことです。
秋以降、間違えてはいけないこと!
『塾の公開テストばかりに気を取られて、過去問演習、対策を疎かにしない!』
是非、参考にして下さい。
2023年7月17日 : 「なぜ?成績が上がらないのか!」間違った5つの勉強法を解説
勿論、「勉強をしない」「勉強時間が非常に少ない」「学校、塾で習ったことを全く復習しない」など勉強不足が理由で成績が上がらないのは誰もが納得が出来ることだと思います。
ここで言う『なぜ?成績が上がらないのか!』は勉強をしているにも関わらず、自分なりに努力しているにも関わらず成績が上がらない方を対象に解説します。
また、私は理数専門の講師ですので、ここでお話する内容は理数専門に着目した解説であることをご理解下さい。
【なぜ?成績が上がらないのか!】
1.“解ける問題”“解けそうな問題”ばかり解く勉強法になっている
このタイプは実は真面目で努力家の生徒に多く見られる傾向にあります。
自学で問題集に取り組みコツコツと努力をするのですが、実は“解ける問題”“解けそうな問題”ばかり綺麗にノートに解いて勉強をしている気分になっている方です。
分からない問題にチェックはするのですが、その不明な問題を“直ぐに”解決しようとはしません。
「まぁ、“後で”分からない問題は(学校、塾の)先生に質問しよう!」「“後で”問題集の解説を読んで解いてみよう!」と、とりあえずそのまま放置します。
その放置がドンドン増えていくと益々先生に多くの質問をするのに抵抗を感じたり、解説を読んでじっくりと考えるのが面倒になります。
何処か(分かる、分かりそうな)問題を手当たり次第解くことで、勉強が捗っていると錯覚しこの勉強法で成績アップに繋がると信じています。
その為に時間を掛けて分からない問題を悩み考えることを「時間が勿体無い」「こんなことやっていられない」と思ってしまうのです。
結果、いつまでも分からない問題や苦手な問題を放置する傾向にあります。
勉強は分からない箇所、単元をあれやこれやと試行錯誤をし、解説を見て時間を掛けて考えることで進歩し成績向上に繋がるのですが、その工程が無駄な時間と感じます。
多くの分かる問題を解いていることで達成感を得ているのです。
しかし、この勉強法は出来る問題と出来ない問題を“種分け”しているに過ぎません。
最後まで問題集が終わると“種分け”した分からない問題を対処することなく、次の新しい問題集に取り掛かります。
またまた分かる問題にばかり取り組み、相変わらず分からない問題は後回し!
こうして「出来る問題と出来ない問題の種分け」を繰返すのみ!を永遠に続ける勉強法です。
分からない問題に着手することはありませんので全く進歩がありません。
「こんなに頑張って勉強をしているのに・・・」という思いだけが募ります。
貴方は分からない問題を何度も何度もあれやこれやと試行錯誤をして考えていますか?
心当たりのある方は、今一度問題集の分からない箇所を徹底的に対処する勉強法に修正してみて下さい
成績アップの勉強とは“勉強量”ではなく“如何に質の良い勉強をするか!”なのです。
2.“解けなかった問題が分かった!気分”で済ませている勉強法になっている
次は分からない問題に対処するのですが、その対処方法に問題がある方です。
解けなかった問題を(学校や塾の)先生に聞いたり、解説を読んで「分かった!」で済ませていませんか?
実は1度躓いた問題は、理解出来たと思っても3度繰り返さなければ定着しません。
≪1度目≫
先生の指導を受けたり、解説を読んで理解した直後、もう一度解答を見ないで自力で解けるか!確認しましょう。
たとえここで解けたとしても油断は禁物!
この時は記憶で解けている疑いがあるからです。
≪2度目≫
3日後、再度解き直してみましょう。
解答も先生に指導してもらった時のノートも何も見ないで再度解けるか?
確認して下さい。
解けなかったり悩ましい状況ですと、まだその問題の理解は定着していません。
再度解答を見てしっかり理解しましょう。
≪3度目≫
更に10日後、同じく解いてみましょう。
このように解けなかった問題、分からなかった問題を貴方は3度繰り返して解いているでしょうか。
殆どの生徒が分からなかったり、間違えた問題を先生に教えてもらったり解答を見て「理解した気分」で済ませています。
これでは全く理解が定着しないのです。
『締めの甘い勉強法』は何となく解法のイメージは出来ているのですが、完璧な解答が得られず残念ながら試験の点数に繋がりません。
何度も何度も繰り返して解き直す地道な勉強法が大切です。
3.“根本から理解していない”上辺の勉強法になっている
そもそも『理解する』ことが分かっていない生徒です。
理解とは「物事の意味・内容を“論理的に(筋道を立てて)正しく分かること」を意味します。
・何故、そうなるのか?
・この公式が意味することは何なのか?
・この現象は何が原因で起こったのか?
・この問題はどの方向性で解いて行くべきか?
・どのように組み立てて解答を導いていこうか?
など論理的に考えることを受け付けず、知識だけで解決する勉強法が習慣になっている方です。
このような勉強法になっている方は、公式をしっかり暗記し、知識は正確に記憶していますので、基礎問題程度の問題は確実に出来ます。
また、考えず記憶で解きますので時には論理的思考が働く生徒よりも早く解答し正確です。
これが「数学得意!」と勘違いをさせ、益々この勉強法が根付いてきます。
一見勉強をしているように見えますが、実は暗記している公式に数字を代入していたり、記憶にある知識を駆使していると言った単なる手作業の勉強に過ぎません。
つまり考えていないのです。
学校の定期試験程度なら何とかこの勉強法でもある程度対処出来ますが、模試や入試などになると全く歯が立ちません。
模試を受けて初めて偏差値に落胆し、自分の理解度に疑問を感じます。
「自分は頑張って勉強をしているのに、どうして成績が上がらないのか?」
「基礎問題は出来るけど、応用問題になるとどうして出来ないのか?」
と悩んでいる方に質問です。
貴方は問題を解くとき
・「どの公式を使うのか?」と公式に拘っていませんか?
・「この問題はどのパターンだろうか?」など、記憶を辿って参考書などの知識を駆使しようとしていませんか?
もし当て嵌まると感じた方は“上辺の勉強法”になっている可能性があります。
これではいつになっても成績は向上しませんし、思考力はいつになっても身につきません。
この“上辺の勉強法”を改善するには、まず
・暗記している公式が「どのように導かれたのか?」再度公式の根本を深堀してみましょう。
・貴方の記憶にある知識を「なぜ、そうなるのか?」「この知識はどのような意味があるのか?」改めて理解してみましょう。
このように『何故か?』理屈を理解したり、現象を実体験することで
【考えるとはどういうことか?】
が徐々に実感できるようになります。
是非心掛けて下さい。
4.“理屈が分かっているから解ける!”の自信から演習問題に取り組まない勉強法になっている
今度は逆に思考力が優れ、論理的に考えることに長けている生徒です。
このような方は、イメージ出来ない事を記憶したり、公式を単に暗記したりすることが非常に苦手です。
基礎問題のような公式を駆使して解いたり、知識さえあれば解ける問題を地道にトレーニングすることを“面倒”に感じます。
勿論、このような手作業的な学習は思考力が身につくとは言えませんし、論理的思考力が身につくとも言えません。
しかし、試験には時間制限があります。
知識が豊富でそれを上手く駆使することで、皮肉にも思考力のある生徒よりも迅速に解法に繋がる場合もあります。
テストの点数アップには思考力や論理的思考力は不可欠ですが、ある程度の知識を駆使することでスムーズに解法を導き、公式を素早く活用することで効率良く解答に繋がります。
折角の思考力を持ちながら、知識不足や公式の活用不足などで他生徒と差がつかない成績評価になるのは、とても勿体無いことです。
「分かるから」「解けるから」と公式を活用する演習や知識を得る演習を軽く思わず、地道にしっかり演習問題に取り組んで下さい。
論理的思考に長けている貴方が知識や公式の活用をバランス良く駆使出来れば誰よりも最強でしょう。
5.“解ければ良い”と自我流・思い込みで解く勉強法になっている
1つの問題には約5通りの解法があると言われます。
その中で迅速に効率良く且つ“採点者が意図する解法”であることが試験では大切です。
特に記述式の答案の場合は“採点者の意図する解答”であることは必須です。
貴方は問題集に取り組んだ後、丸付けをして『合っている!』で済ませていませんか?
間違った箇所は解説を読んで直しをしますが、合っていた箇所は解説も読まずスルーする方が大半です。
しかし、それはとても危険です。
もしかしたら、貴方のその正解は
・自我流の解き方で偶々合っていた!
・相当な時間を掛けてゴリ押しで解けた!
・何となく勘が働き解けた!
・以前、同じような問題を解いた記憶を辿って解けた!
を「正解」「出来た」「分かった」でスルーしているかもしれないからです。
このような解答では試験に対応出来るとは決して言えません。
試験には時間制限があります。
ゴリ押しで時間を掛けて出来たところで成績に反映されないのです。
記憶を辿っている余裕もありません。
勘が働く余裕もありません。
また、試験採点者の意図する解き方から逸れていても、自我流で解法を導き「答えが合えば良い」と考えがちですが、ほぼこれでは高得点は期待出来ません。
その理由は
大学入試の共通テストを始め、殆どの入試問題は1行問題を除けば、問題形式が1つの大問に数個の小問がある形式になっているからです。
更に、1つの大問にはストーリー性があり順を追って解法を導いて行く形式です。
そのストーリー性は作成者の意図する解法で形成されている為に、そこから逸れて自我流で解いて行きますと方向性が狂い始め最後の問題まで正解を導いて行くのが難しくなります。
問題を解いてたとえ「正解」だったとしても、解答の解法を確認するようにしましょう。
『本当に自分の解き方がベストなのか?』
・もしかしたら、もっと優れた解法があるかもしれない
・もしかしたら、自分と違う解法をしているかもしれない
・もしかしたら、自分が知らない知識を駆使して解法を導いているかもしれない
・もしかしたら、自分の解法はゴリ押し的な解法なのかもしれない
などを疑いながら解答をしっかり読んで確認するようにしましょう。
『解ければ良い』では試験は通用せず、
いかに迅速に効率良く且つ“採点者の意図する解法”で解くか!
が大切です。
頑張って勉強をしているのに成績が上がらない!と悩んでいる方
ここに5つの問題点を挙げて解説しました。
「何処か心当たりがある!」と感じた問題点がありましたか?
あれば今日から是非改善してみて下さい。
改善、修正は面倒であり、気が進まない気持ちも分かりますが何かを変えないと今の成績も変わりません。
成績アップに繋がりますことを願っています。
2023年6月13日 : 間違えると致命傷になる!夏期講習の選び方
【間違えない!夏期講習の選び方】
6月も半ば!もうそろそろ「夏期講習どうしよう?」とお考えになる方も多いのではないでしょうか?
1ヶ月以上学校教育から離れることは、良くも悪くも子供達の教育に大きな影響を与えることは間違いありません。
「有意義な夏休みを送って欲しい」と言った親御さんの気持ちはとても理解できますし、其の為にも間違った夏期講習選びは是非避けて欲しいと思い、今回は『間違えない!夏期講習の選び方』について解説します。
参考にして下さい。
【1.夏期講習の目的を明確にする】
小学生~高校生まで日頃通塾なさっている方は当然のように塾から“夏期講習の申込書”が配付されることと思います。
そして、何の悩みもなく当然のように申込書に自署して提出し、夏期休暇は通学から通塾に移行します。
が、自署する前に今一度家庭で「夏期講習の目的」を明確にしましょう。
『何の為に夏期講習に参加するのか』です。
そして、その塾の夏期講習は本当に貴方の目的に合致していますか?
例えば、
・夏期休暇中も規則正しい生活(早寝早起き)を過ごすことが目的ならば、”午前中から授業がある”夏期講習か否か?予定表を見て吟味する。
・1学期の単元が分からず復習をすることが目的ならば、“1学期の徹底復習”をする夏期講習か否か?夏期講習の学習内容を調べる。
・苦手科目をこの1ヶ月で基礎からやり直したい!が目的ならば“苦手科目を徹底的に個別で指導”をしてくれる個別指導の夏期講習か否か?問い合わせる。
・得意科目をもっと深堀して応用知識を身に着け、入試で合格の得点源になることが目的ならば“プロ講師が指導する”レベルの高い夏期講習か否か?指導講師を調べる。
・受験生で志望校対策に力を入れることが目的ならば、自分の志望校対策を徹底的にしてもらえる進学塾の“経験豊かなベテラン講師による指導”か否か?しっかり塾に確認をとる。
などなど・・
自分(子供)は
『何の為に夏期講習に参加するのか』
目的を明確にして参加することが大前提です。
“塾生なら夏期講習に参加するのは当たり前”と言った風潮が通塾している塾にはあると思いますが、一度冷静に「この1ヶ月以上の長期休暇をこの塾の夏期講習に参加することで、自分が求めている目的は達成できる可能性が本当にあるのか否か」立ち止まって親子で話し合ってみてはいかがでしょうか。
この際、通塾していない他塾の貴方の目的に合致していそうな夏期講習に参加してみるのもよい方法かもしれません。
通塾していない方は、DMやチラシを見て安易に申込みをするのではなく、しっかり目的を明確にして客観的判断をするようにしましょう。
何となく暑い中通塾し、何となく授業を受け、何となく夏期講習も終わった!といった「何となく」の夏期学習にならないよう注意が必要です。
この1ヶ月以上の長期休暇を有効活用出来るか否かは、2学期以降の(受験生なら入試に)学習に間違いなく大きな影響を与えます。
【2.参加する夏期講習のスケジュールを確認してから申し込む】
夏期講習の目的が明確になり、その目的に合致した塾が見つかったとしても“即申込み”は避けましょう。
まず夏期講習の内容確認後、講習のスケジュールを見せてもらいましょう。
中には朝9時~夜8時頃まで(休憩時間、ランチ時間があるにしても)1日中拘束する夏期講習もありますがこれはお薦めできません。
親御さんの中には「家にいても勉強しないから塾で拘束された方が良い」とお考えになる方もいらっしゃいますが、ほぼその期待は裏切られる結果で夏期講習は終了します(これが1~2回/週ならまだ猶予ありますが)。
理由は、「家で落ち着いて復習する時間がない」からです。
つまり夏期講習で学習した内容を家に持ち帰って復習をする時間がありません。
通塾して講習を受講するのが精一杯で「講習を受けっ放し状態」になり全く身につかないのです。
日頃の塾の勉強と異なり、夏期講習は慌ただしく様々な単元を学習する傾向にあります。
次から次へとドンドン単元が変わりますから必ず家で復習をしないと学習内容が定着しません。
が、毎日夏期講習を長時間受講していると家庭での復習に余裕がなく、結局のところ「あれだけ夏期講習に通ったけど、意味があったのか?」と夏休み後、悔やまれる結果になりかねません。
費用はかなり嵩み、多額なお金と多大な時間と労力を掛けた結果が“期待外れ”にならないように注意しましょう。
“夏期講習費用は塾ビジネスの売上貢献である”と言った何処か冷静な考えを頭の片隅に持っていることが大切です。
【3.講習教材、指導講師を確認する】
次に夏期講習の教材を見せてもらいましょう。
教材を見れば、夏期講習で学習するレベル、難易度がある程度見えてきます。
生徒(子供)自身が教材を見て「へえ~こんな内容を学習するんだ!学びたい!」と魅力を感じるか否か。
これが受講するか否かの決め手になります。
「簡単そう~」という印象を受けたり、逆に「これ、さっぱり分からない!」と思えるようでしたら貴方のレベルに合っていないと思って下さい。
また、教材の内容が貴方の夏期講習の目的と合致しているか?も判断材料になります。
自分の講習目的が「1学期の復習をしたい」であるにも関わらず、教材が2学期の先取り学習でしたら全く貴方の目的から外れていますので控えましょう。
夏期講習の選び方の最大ポイントが『誰が指導をするか』です。
どんなに素晴らしい教材で貴方の夏期講習の目的と合致している塾だったとしても、指導者との相性で雲泥の差の結果になります。
夏期講習は誰の指導を受けるか!で決まると言っても過言ではありません。
必ず、指導講師を調べた上で申込をするようにしましょう。
特に、夏期講習は塾の売上に大きな影響を与えますので出来るだけ多くの受講者を募集します。
講師数が不足しがちで臨時講師としてアルバイト(中には学生アルバイトや経験不足の講師)が指導をする場合も少なくありません。
多額な費用を支払いながらも未熟な講師による指導といった悲惨な“外れくじ”を引かないように、しっかり親御さんも加わって塾側の立場を見抜くようにして下さい。
【4、大まかな授業の流れの説明を受ける】
指導講師が分かれば次に授業の大まかな流れも塾に尋ねてみましょう。
講師の指導~演習~解説~質問などの時間配分やどのような指導方法なのか?などしっかり納得がいくまで説明を受けて下さい。
中には夏期講習と言いながらも、各生徒にプリント演習をさせてばかりの自習室のような塾も存在します。
指導方法が曖昧で、時間配分が明確でないと感じたら一旦振り出しに戻ってみて下さい。
【5、夏期講習は本当に必要か?自問してみる】
最後にそもそも「夏期講習は本当に必要なのか?」です。
塾生は塾から夏期講習のチラシが配付され、親御さんは塾の面談で夏期講習の申込を催促され暗示にかかったように申込書に自署して1ヶ月以上の暑い夏、時間と費用を塾に捧げます。
しかし、『その夏期講習は本当に意味があるのか?』
・塾の皆が参加するから自分も参加しないと取り残されてしまう
・家では勉強しないから行かないより行った方がましかも・・・
・塾の講師が薦めるから・・・
・塾に嫌われたくないから・・
・講習に参加していたら勉強している感があるから
・家で学習と言っても何をしたらよいのか?分からないから
こんな気持ちが過っていませんか?
もし塾から夏期講習のチラシが配付されなかったとしても
もし塾の面談で夏期講習の催促がなかったとしても
貴方は「この夏期講習に自分から申し込もう」と決めていたでしょうか。
通塾していない方は
もし塾の夏期講習のチラシが自宅に届いていなかったとしても
もし塾の前で夏期講習開催のポスターを目にしなかったとしても
貴方はその塾の扉を開けて夏期講習の申込をしたでしょうか。
『申込を決めていた』『申込をした』ならきっと有意義な夏期講習になるかと思います。
「夏は受験の天王山」と言われるほど、受験生にとってこの夏は譲れません。
この夏は本当に大切な時間です。
その為にも
『“如何に効率良く”志望校合格に近づく勉強をするか』です。
効率良く勉強をするベストな方法は
自分の分からない箇所、苦手単元“のみ”指導者に教えてもらう方法です。
夏期講習はほぼ多くの生徒の中で同じ教材で同じペースで進められます。
極端な話、自分は理解出来ている箇所でも解説を聞いたり、自分の志望校では頻出傾向にない箇所の演習もしたり、など他生徒と足並みをそろえなければなりません。
それよりも、
予め自分で学習し、分からなかった箇所や更に深堀して指導してもらいたい箇所などを種分けして、そこだけを短時間でドンドン指導してくれるような効率性の良い勉強法をしっかり考えて夏期講習を選択して下さい。
「参加することに意義がある」「参加して満足気分」の夏期講習にならない様、特に受験生は慎重に選びましょう。
繰り返しになりますが
「皆平等に与えられた夏期休暇の時間をライバルよりも如何に有効活用するか!」が、来年の入試で多くの受験生の中、合格を勝ち取る決め手になることは間違いありません。
一方
受験生ではなく余裕のある皆さんは、自分の夏期休暇中の勉強を確立させてみてはいかがでしょうか。
・自分で切磋琢磨して1冊教材を学習してみる
・分からない箇所でも動画や参考書などでチャレンジしてみる
・得意分野、興味のあることを自分なりに調べて深堀してみる
即成績アップの結果に繋がらなかったとしても、自分で調査、研究し開拓したことは必ず後々何かに役立ち、貴方の思考力を鍛えてくれるはずです。
こちらも「友達が夏期講習に申し込むから」「参加することに意義がある」「受講しないより受講した方がまし」の夏期講習にならない様にしましょう。
皆さんにとって「有意義な夏期講習」になり、2学期以降の勉強に良い結果に繋がりますことを願っています。
2023年5月8日 : オンライン塾・算数講師が語る!「中学受験生の親が絶対にしてはいけないこと」
オンライン塾、中学受験算数・理科専門講師のKO-HEIです。
今回は「中学受験をする上で、親御さんが絶対にやってはいけないこと」について、実話も取り入れて解説します。
中学受験は「親の受験」と言われる程、子供だけでなく親、塾との連携がなければ志望校の合格は厳しいのが現状です。
親御さんも毎日の子供の塾への送迎、塾の復習、塾のカリキュラムに沿った生活・・・・と小学4年生頃から約3年間、子供と同じく「中学受験」という長いレールに乗り必死に務める生活は想像以上に大変で厳しい道のりです。時には感情的になることも理解出来ますし、相当なメンタルが要されます。
しかし、反面この3年間の「中学受験」時代の生活が、その後の子供の成長に大きく影響することも忘れてはなりません。
今回は親御さんの「中学受験」に必死なあまりに方向性を誤った結果、中学入学後の子供の無力感、性格にまで大きな影響を与えてしまい、最悪は進学校を辞めてしまったと言う実話を交えて「中学受験生を持つ親が絶対にしてはいけないこと」ワースト3つをお知らせします。
≪ワースト1「〇〇中学(志望校)に入学すれば“勉強しなくて良い”」発言≫
「〇〇中学にさえ入れば、もう頑張らなくても〇〇大学(難関大学)まで安心」「今だけ頑張れば、もう今後勉強しなくて済むから」と言ったような言葉を発言することは絶対にしてはいけません。
中学受験生、まだ10~12歳!
親御さんは気合を入れるつもりで発する言葉でも子供はそのまま信じます。
親のこのような発言をいつまでも覚えています。
「今だけ頑張れば良い」「中学さえ入れば、もう勉強しなくて良い」さらに「〇〇中学に入学すれば楽しい生活が待っている」とドンドン気持ちを高め信じて必死に頑張ります。
ついつい親はその子供の頑張りを嬉しく感じ、更に拍車をかけて「〇〇中学に入学さえすれば・・・・・」が口癖になります。
子供は「〇〇中学に入学さえすれば幸せな生活」と暗示にかかったように頑張ります。
受験勉強の時期はこの状況に、親子共々「〇〇中学合格!」の目標に向かって一丸となり一見良い家庭環境です。
ところが、この一見良い家庭環境が〇〇中学に入学後、じわじわと悪化の一途をたどる傾向にあることを忘れてはなりません。
〇〇中学校は、当然厳しい受験を乗り越えて来た生徒達ばかりの優秀な進学校です。
入学後、このような優秀な生徒達の中で進学校の進度の速い学習が新たに始まります。
子供は「〇〇中学に入学さえすれば、勉強しなくて良い」「〇〇中学では、遊べる!」と期待して受験勉強を乗り切ったのに、現実が「そうではない」ことを実感する時が来ます。
「〇〇中学に入学さえすれば、勉強しなくて良いと親が言ったのに・・・・」
「〇〇中学に入ったら、もう頑張らなくて良いと家族が言ったのに・・・」
あ~僕(私)は親に騙された!!!
ここから2つの実話をお話しましょう。
ある超難関大学附属中学に入学した男子です。
「〇〇大学附属中学に入学さえすれば、〇〇大学までストレート!」
この意識が中学受験時代に脳に定着し、〇〇中学に入学した時点で彼の学びはゴール地点に到達しました。
〇〇中学2年生の彼は
「なぜ、〇〇中学に入学したのに勉強しなくてはならないんだ!」
「進級できれば良いんだろ!」
「これ以上、勉強する意味があるのか!」
「なんの為に勉強しなくてはならないんだよ!」
が口癖でした。
それでなくても、中学2~3年の男子はほぼ反抗期を迎えます。
彼は〇〇中学校で、部活も学校の活動にも積極的に参加することはなく学校と家をただひたすら往復する日々。
〇〇大学の学歴をゲットすることだけが目的の学生生活で「いつも家で寝ている」といった無力感に陥ったのです。
親御さんも中学2年生の彼に「頑張って勉強しなさい!」が堂々と言えません。
あの2年前の
『〇〇大学附属中学に入学さえすれば、〇〇大学に入学できるから』
の発言を子供が覚えていますから・・・
〇〇大学の学歴が得られても、“将来の目標や夢、チャレンジ精神”と全く無縁の彼にとって
「何の為の中学受験だったのか!」と感じます。
超難関女子中学に入学した女子。
中学受験塾ではいつもトップクラスに所属し、彼女の超難関中学合格は確実でした。
このご家庭でも家族一丸となって彼女を応援!
励ましの言葉は、やはり
『〇〇中学に合格さえすれば、“もう勉強しなくても良いから”・・・・』
彼女はこの家族の言葉を信じて必死に頑張り見事に合格!!
ところが、先述の通り入学した難関中学は優秀な女子ばかりですし進度が速く、流石に賢い彼女でも勉強しないではいられません。
中学校に入学すると早速、難関大学に向けての勉強に追い詰められました。
「〇〇中学に合格すれば、“もう勉強しなくて良い”と言ったのに・・・・」
“親に裏切られた”と思う彼女の怒りは日に日に増していきます。
一方、親御さんは中学受験時代に発した“もう勉強しなくて済むから・・・”発言はすでに記憶から消え「何の為に〇〇中学に入ったの!難関大学に入学するためでしょ!しっかり勉強しないと・・・」と子供に発破を掛ける日々。
結末は彼女の親への怒りは収まらず、不登校と言う形で反抗し〇〇中学を辞めてしまいました。
中学受験時代、家族一丸となって「〇〇中学校合格」の目標を達成したにも関わらず、親子の信頼は喪失し、学ぶ“喜び”どころか学びに“憎悪”を感じる結果にまで彼女を追い詰めた中学受験は
「なんの為の中学受験だったのか」と惜しまれてなりません。
中学受験勉強の時期は必死なあまりに「この時期さえ乗り越えれば・・・・」と思う気持ちも十分に分かりますが、どこか親は冷静さを忘れずにいることの大切さを感じます。
中学受験は今後、中学~高校~大学と続く学生時代の一つの過程に過ぎずゴールではありません。
それよりも中学受験勉強で完全燃焼をしてしまい、学びへの意欲を失ったり、勉強への興味・探究心がなくなることの方が長い今後の人生に大きな打撃を与えてしまうことを親御さんは十分に理解して欲しいと思います。
そして、中学受験にチャレンジしている子供達には
未知なことを学ぶ楽しさやワクワク感を実感できる受験勉強であって欲しいと切に願います。
≪ワースト2「日曜テストで〇点以上の成績だったら〇〇して良い」と条件を付ける≫
ついつい目先のテスト(月例テスト・日曜テストなど)の成績が気になり「今度のテストで〇点以上だったら〇○して良いよ~」と激励の気持ちで親御さんは子供に条件を付けがちです。
この条件付き激励は、一瞬子供のモチベーションアップに繋がり成績向上になると思われがちですが、それはとても甘い考えです。
まだまだ10歳前後の子供。
中学受験に対する意識はあるものの、その場の楽しさに魅かれるのは当然のことです。
「“取りあえず”日曜テストで〇点さえ取れれば・・・・・〇〇が出来る!」が過ります。
“取りあえず”テストで〇点取るには・・
“取りあえず”問題1と問題2が出来れば〇点取れる
“取りあえず”問題1と問題2の解き方を“覚えれば”〇点取れる
と、〇点取ることが目的になります。
勿論、テストで〇点取ることを“目標”にするのは良いのですが、〇点取ることが“目的”の勉強になりますと「学びが義務」になってしまいます。
義務化した勉強は
「なぜ、そうなるのか?」「へえ~不思議な現象だ~」と言った未知なことを学ぶ喜びを得ようとしません。
「分かった!」と理解した喜びを感じません。
「どうしたら問題1は解けるのか」「問題2の解き方は?」と解き方(解法テクニック)にばかり執着し、講師のやり方を取りあえず覚え、教材の知識を丸暗記して「〇点勝ち取るために」と目的を達成しようとします。
実は
小学生の子供の脳はスポンジのように興味のあることをドンドン吸収し、自分が「面白い!」「楽しい!」と思ったことは率先して学んでいきます。
子供達は解答よりも興味をもったことの“過程”を知ることに面白味を感じるのです。
全く勉強という意識はなく遊び感覚で探究し、思考力を自ら付けて行きます。
大人では想像できない程、子供の脳には才能があるのです。
少し話がそれました。元に戻しましょう。
一見、条件付きの激励は子供の勉強意欲を高め成績向上に繋がると考えがちですが、実は子
供に条件を獲得する手段を提供しているに過ぎません。
心から学びの喜びを実感する勉強どころか子供を煽らせる羽目になり「〇〇をしても良いと親の許可を得る為に勉強を“しなくてならない”」と義務感を覚えるのです。
義務感でする勉強が楽しいものではないことはご存知だと思います。
楽しくない勉強が身につかないこともご理解出来ると思います。
当然成績は上がりません。
偶に
「子供は一生懸命勉強しているけど、成績が全く上がらなくて・・・」とのお悩みを親御さんからお聞きします。
その子供の勉強は本当に楽しんでやっているでしょうか?
未知なことを知る喜びで学習しているでしょうか?
もしかしたら、義務化された勉強になっていないか。今一度振り返っていただきたいと思います。
『テストで〇点以上だったら〇〇して良い』の条件付きで子供は
1、「〇〇したいから〇点をとらなければならない」と〇点をとることが目的になる
2、目的化した勉強は義務感になる
3、義務化した勉強は学びの喜びを実感しない
4、学びの喜びがない学習に思考力はつかない
5、思考力が乏しい子供は学力がつかない
この現象が循環していき結果、成績向上どころか中学受験もいや、中学以降の勉強にも良い結果を導いてくれることはほぼありません。
ついつい親御さんは塾のクラス編成が気になり、目前の月例テスト(日曜テストなど)の点数を1点でも多く獲得して欲しい願いから条件を付けがちですが、これが習慣になりますと想像以上に今後の勉強意欲に影響を与えるのです。
『学びの喜び』を実感することはなく、それは中高校生の勉強にも大きな打撃を与えます。
≪ワースト3「子供の決定権」を奪ってしまう≫
中学受験は挑む子供だけでなく、勿論親御さんやご家庭の考え、要望などがあるのは当然であり「子供にとって良かれ!」と思って何事も対応なさっているのはとても理解できます。
しかし、最後の決断は子供の意思を尊重して下さい。
何故なら
『中学受験をするのは子供だから』です。
特に、塾の選択、受験校の選択などは必ず「子供が行きたい学校(塾)」と、本人である子供に決定権を委ねましょう。
親が受験校の決定権を奪ってしまった結果「何の為の中学受験勉強だったのか!」という残念に終わった実話を紹介して、このテーマ「中学受験生の親が絶対にしてはいけないこと」を終わりにしたいと思います。
小学6年の男子で9月頃、受験校の過去問対策をして欲しいと言う依頼を受けました。
9月時点では「A大学附属中学校かB中学校を希望している」という親御さんからの要望があり、早速A大学附属中学校とB中学校の算数・理科の過去問をスタート。
ところが2ヶ月後の11月。
A大学附属中学校の過去問が解けないのを見越してか「A大学附属中学校は厳しいみたいなので辞めます。代わりにC中学校にしましたのでこちらの過去問対策をお願いします」と親御さんから連絡。
子供に「A大学附属中学校に行きたかったのではないの?」と尋ねると“合格は厳しいという親の考え”を察知してか「うん、わからない」と返事。
それでも「B中学校には合格できるかも・・・」という子供の切実な願いを感じました。
その1ヶ月後の12月。
「子供がC中学校に行きたい!と言っているのでB中学校の受験は辞めます。代わりにD大学附属中学校を受験しますので、D大学附属中学校の過去問に切り替えて下さい」とまた親から連絡。
流石に驚いて本人に「君はB中学校に行きたかったのではないの?」と聞くと
「うん!僕、C中学校は見学に行ったこともないし、行きたいかどうか“わからない”」
と正直な気持ちが返ってきました。
親御さんに「本人はB中学校を希望していますよ。C中学校は行ったことがないから分からない」と言っていることを伝えますと
「B中学校の国語の試験内容が中学受験に適していません。こんな内容を入試に出す学校は私の家庭の教育方針に合わない」とB中学校の受験を辞めた本音をお聞きして衝撃でした。
『子供の意思ではなく、親の意思で簡単に決める』のです。
B中学校を見学して子供が「行きたい!」と決断したものを、国語の頻出内容が気に入らないといった親の偏見で簡単に子供の決定権を奪ってしまっているのです。
この頃から子供のモチベーションは下がり、授業にも集中力がありません。
当然ですね。自分がB中学校に行きたいから頑張って勉強してきたのに、簡単にその決定権を奪われてしまっているのですから・・・
更に、年も明けて受験を数週間後に控えている最中、
「C中学校とD大学附属中学校の過去問を再度見直すように」とアドバイスを差し上げたところ、
親御さんから「C中学校を受験するのを辞めました」とまたまた衝撃の発言が・・
その理由は
「どう考えても息子がC中学校に合格するとは思えないので・・・」
と返答がありました。
また、
『子供の意思ではなく、親の意思で簡単に決める』のです。
この5か月間
A大学附属中学校からB、C中学校、更にD大学附属中学校と過去問対策をして来ましたが「何のための受験対策だったのか!」と怒りと残念が拭えない始末。
結局
D大学附属中学校(3回まで受験可能な学校)を3回受験して、全て不合格
で彼の中学受験は終了しました。
なぜ
『子供の決定権を奪うのか?』
結論から言えば、
『親が子供を信じ切っていないから。』
“どのような結果で終わっても子供が自分で決めたこと(B中学校に行きたい)を信じ、「決めたことを最後までやりきった」素晴らしさを褒め称えよう“
と心から親が思えないことから生じたこの結末は、一番本人である子供が傷つき忘れることが出来ない悲劇になったと感じてなりません。
受験をするのは子供です。
自分が行きたい!と心から願い、受験校を決めて頑張って勉強したのは子供です。
子供の決定権を絶対に奪わないで下さい。
「中学受験生を持つ親が絶対にしてはいけないこと」ワースト3つを実体験に基づき記載しました。
このワースト3は単なる“中学受験時代の思い出”では済まされず、いつまでも子供達の心に残り大きな影響を及ぼす可能性があることを決して忘れてはなりません。
指導者である私達も同様に、“学びは楽しいもの”であり子供達が将来の目標・夢を抱き様々なことにチャレンジできる助っ人として努めていく次第です。