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2025年5月7日 : 中学受験合否は理科で決まる!
【中学受験合否は理科で決まる!】

2025年度の中学受験も終了し、もう既に来年の入試に向かって新6年生の受験勉強はスタートしました。
今年の受験もここ最近の受験と同様に厳しい戦いでした。
その理由としては、学校側の体制の変化・多様化があるように感じます。
志望校の男子校・女子校から共学への変更、受験科目の変更や配点の変更だけでなく、国際化に向けてグローバル入試による英語重視や帰国生入試の増加、理数科目の強化による算数一科目受験の採用、英検や算数・漢字検定の評価の導入など、志望校の教育体制や入試の多様化により、多くの受験生が工夫を凝らし様々な方法・手段で受験し合格を勝ち取ることが出来るようになったことが挙げられます。

数年前迄は中学受験専門塾で塾のカリキュラムに沿って学習し、日曜テスト等で確実に偏差値をキープしていればある程度の志望校に入学できることが予め見えていた時代でした。

しかし,ここ最近は
塾のカリキュラムに沿った学習から外れ、英語・算数・漢字検定試験や通塾せず算数一科目のみに特化した学習で上手く合格を勝ち取ると言った違ったルートから受験に挑む生徒が増加傾向にあり、全く塾の偏差値だけでは合格の目途が立たない時代に突入して来たことを今年の受験でも痛切に感じました。
言い換えれば、
有名中学受験塾のカリキュラムに沿って日々学習し、日曜テスト(合不合テスト)の偏差値による合格判定のみで受験に挑むようでは満足できる結果に至らないようになって来たということです。

志望校の受験体制の変更、受験方法の多様化などの情報をしっかり把握して、その生徒にとってベストな受験方法を早めに探り対策をとることが重要な課題です。
最早「中学受験の為に有名中学受験塾に早くから通塾し、日曜テストの成績をアップ・上のクラスに上がることが合格を勝ち取る結果に繋がる」といった考えは通用しなくなって来たと言えるでしょう。

「英語や算数に特化した勉強で一科目受験に挑む」
「英語検定や算数検定、漢字検定などに日々挑戦し検定試験で得点を稼ぐ」
などの方法・手段で合格を勝ち取ることも十分に可能であり、何処か余裕を持って受験に挑めるのかもしれません。
是非、参考にしてみて下さい。

では早速今回のテーマ『中学受験合否は理科で決まる!』に入りましょう。

「受験方法・手段の多様化」とは言っても、まだまだ4教科受験が一般的であり志望校の選択において門戸が広いのは事実です。
大半の生徒は中学受験専門塾に通塾し、塾のカリキュラムに沿って各単元を学習し受験に向けて4年生頃から準備を始めているのが一般的でしょう。
その塾に沿った学習では国語・算数の2教科は指導日数・時間とも(理科・社会よりも)ウエイトが高く、また日曜テストなどでも配点が高いため国語・算数に意識が向きがちです。

『先ずは算数と国語』『理科・社会はまだまだ後から』と安易に考えるケースが多く見られ、6年生になっても余裕の無い生徒に於いては『理科・社会は最後に“追い込み”で何とかなる!』と思い込んでしまうケースも少なくありません。
しかし、
結論から申しますと『理科は“追い込み”で何とかなりません!』(社会に関しては分かりませんが・・・・)
実は理科は4教科の中で一番「考える力」を要し、出題範囲が半端なく広く奥深く、理屈を分からずしては全く歯が立たない科目なのです。
「どういうことか?」具体的に説明しましょう。

『理科の入試問題では算数のように正答を導くだけで終わらず、その正答を導いた“根拠”が問われる問題が出題される傾向にある。』

【問題例】
「Aさんは公園で蟻を見つけて家に持って帰りました。蟻を机の上に置いていましたが目を離したすきに落ちてしまいました。「あっ!」と思って恐る恐る蟻を確認したら無事でした。そこでAさんは疑問に思いました。蟻が耐えられる高さって一体どれくらいなのか?」
貴方もAさんのような体験はあると思います。
一体、蟻が耐えられる高さはどれくらいだと考えますか?
是非、○○中学の受験を機会に『蟻について』考え、貴方がそう考えた理由を説明しなさい。


理科の入試問題では、このように実生活で起こりがちなテーマが文章形式で出題され、根拠を持って解答させる出題傾向が増加して来ました。
実生活での体験から勘を働かせて、蟻の耐えられる高さを「5m」「10m」「100m」等と答える生徒もいるでしょうし、知識があり「どの高さでも耐えられる」「全ての高さで耐えられる」と正答を導ける生徒もいるでしょう。
算数の問題ならば正答した生徒にはこの時点で加点されますが、理科では正答しようとしまいが何も加点されません。
「蟻はどの高さにも耐えられる」と正解したとしても、その根拠を自分の言葉で説明出来なければ加点されないのです。

この問題例に関する内容は大手塾のテキストでは「運動・てこ」の単元になりますが、「物の運動」というテーマでほんの約1ページ程度に解説されているに過ぎません。
それも「“運動の法則”には静止・慣性の法則・作用反作用の3つの法則がある」と言った知識の解説がなされているに過ぎず、大半の生徒はこの“3つの法則”を記憶した程度であり、これらが「なぜ起こるのか?」或いは「どのような現象として実際に起こっているか?」などまで奥深く考えた学習はほぼ皆無に等しいと言えます。
受験生の大半は初見の問題であり日常の自分の経験、思考から根拠を導いていかなくてはなりません。

この入試問題は「虫」を題材に日常生活で起こり得る自然体験を通じて「慣性の法則」の理解度を測ったと言えるでしょう。
日頃の学習が知識の押し込みではなく奥深くまで理解し、学んだ内容を如何に日常生活で有効活用しているか否かが試されたと考えます。

恐らく生徒達に「運動の法則を答えなさい」という問題であれば「静止・慣性の法則・作用反作用」とすかさず答えるでしょう。
しかし、残念ながら最近の入試問題ではテキストに掲載されている知識問題を解答させる問題等は出題されなくなってきました(それだと大半の生徒が正答しますので・・・)。
つまり、志望校の入学試験では、塾のテキストで学んだ程度の知識は「知っているのが当たり前」であり、その知り尽くした知識を根本から理解し活用出来るまでの能力が問われるのです。
そこまで能力を鍛えるには、とても「最後の“追い込みで何とかなる」わけがないことは納得できるでしょう。


また
『理科の出題範囲は限りなく広く奥深くどの塾の優れたテキストで学習をしていても、テキストの解法や塾講師の解説を理解しただけでは限界がある』

【問題例】
「皆さんは日頃、豆腐を食べると思います。豆腐は知っている通り柔らかく、そのまま何個も積み重ねると下の豆腐は潰れてしまいます。
しかし、スーパー等では容器に入った豆腐が何個も積み重ねられて販売されています。
何故、容器に入った豆腐は何個も積み重ねられても柔らかいのに潰れないのでしょうか。
どのような工夫がなされているのか?
そして、そのような工夫をすることで何故、潰れにくくなるのか?
以下の内容を踏まえて説明しなさい。

①ピーチボールを教室の床で弾ませた時、空気があまり入っていないボールよりも空気が沢山入っているボールの方がよく弾む
②空気を入れたペットボトルを潰すために力を入れると力を入れれば入れるほど手応えが大きくなる。最後まで押しつぶせそうだが、最後まで押しつぶすことは出来ない。
③水を入れたペットボトルは全く手応えがなく押しつぶすことは出来ない。

こちらもある理系の中学校の入試に出題された問題ですが、恐らく水で満たされている豆腐パックについて授業で解説している中学受験進学塾は皆無に等しいでしょう。
また、豆腐は知っていても日頃買い物をしない生徒は豆腐がどのような容器に入って、どのように陳列されて販売されているか?さえ知らない生徒もいたのではないでしょうか。
こちらの中学も如何に日常生活に於いて関心を持って過ごしているか否かを測った問題でした。

この問題例に関する内容は大手進学塾のテキストでは「燃焼・熱」の単元になりますが「物の膨張」というテーマでほんの僅か半ページ程度に解説されているに過ぎません。
塾の学習のみでこれらの問題に対応することには無理があり、如何に日頃、風船が破裂する瞬間やペットボトルを凍らせて破裂させてしまった失敗、沸騰させるとピ~と鳴り響く“やかん”など、テキスト以外の日常に注意深く関心を持って生活しているかが問われます。

大半の生徒はこの問題の一般的な解答として
「緩衝材(クッション)の役目として容器に水を入れて潰れないように工夫をする。」
と答えがちですが、この解答では全く通用しません。
何故水を入れると潰れないのか?の根拠が説明されていませんし、そもそも①~③の内容を踏まえた説明には程遠いからです。

少し機転を利かした生徒は、①~③の内容を踏まえた上で考えて
「豆腐の容器は真空状態になっているから・・・・」などと答えるかもしれません。
が、真空状態であれば逆に潰れやすくなるはずです。(誤答ですが真剣に考えた点は評価します)
①~③の内容を踏まえ
「豆腐の容器の中には豆腐の周囲に水が“満杯”に入っており、“水はどんなに強く押しても体積は殆ど変わらない”と言った性質を利用して豆腐が潰れるのを防いでいるから」と答える必要があるでしょう。

このように、理科の中学入試問題は「豆腐」一つで問題が出来てしまいます。言い換えれば「豆腐」一つが合否の決め手になるのです。

理科は出題題材が限りなく広く、とても見当がつきません。更にその題材は知識だけで解答することは困難な形式で作成されており根底から理解し、理解した内容を応用して活用出来なければ正答が得られないように工夫を凝らして出題されています。

塾のテキストで知識を丸暗記、演習問題を公式通りに解いて受験に挑むようでは全く歯が立たないのが現状です。
繰り返しになりますが、一つ一つの現象について「なぜそうなるのか?」根底から理解し、理解した内容を様々な方向から活用できる能力が必要になります。

そこまで能力を鍛えるには、とても「最後の“追い込みで何とかなる」わけがないことは納得できるでしょう。

中学受験生の多くは4教科受験を志望します。4教科バランス良く学習を進めていくことは大変ですし、苦手科目があるのは致し方がないことだと思います。
「苦手科目は得意科目でカバーすれば何とかなる」と考えがちですし、特に得意科目がかなり秀でていますと苦手科目が然程気にならず偏差値にも影響が少ないことから「苦手科目」の克服から遠ざかる傾向にあります。
また、国語・算数が点数のウエイトも高いためこの2科目に重点を置く傾向にもあります。

日頃の日曜テスト(合不合テスト)でも、得意科目で点数を稼ぐ方法で順位・偏差値を上げている生徒もお見受けしますが、これも本番の入試では当てにはなりません。
志望校の入試で例え理科・社会の配点が国語・算数の配点よりも低かったとしても、入試には貴方と同程度の受験生ばかりであり「どの科目も失点が許されない」からです。
「1点が合否を決める」入試です。
「理科・社会はまだまだ後で」「理科・社会は最後に追い込みで何とかなる」と過信しないようにしましょう。
毎年、夏休み頃から理科・社会に取り組み、入試直前に「こんなはずではなかった」と後悔する生徒や2科目受験に変更せざる負えない生徒が存在するのを、とても残念に思います。
是非、参考にして下さい。

2023年11月9日 : 中学受験の学習は教え方次第!思考力に雲泥の差が生じる!
中学受験の学習は教え方次第!思考力に雲泥の差が生じる

(注)こちらの投稿は算数・理科と言った理系思考力に特化した内容となっております。

中学受験を目指す子供達はほぼ中学受験進学塾に小学4年生頃から(遅くとも5年生には)約3年間通塾して受験準備をします。
子供達が通塾する大手進学塾は何処も研究に研究を重ねオリジナルの教材を制作し、その完璧な教材のカリキュラムに沿って受験専門講師が指導をしていきます。
その教材は本当に優れており小学生の子供達にあれやこれやと考えさせたり、公式を駆使しないで自然に自分の頭で問題の解法を導かせたり、より奥深く公式の意味まで理解させるなど・・・・時には高校数学で学ぶ単元を小学生でも理解出来るように工夫を凝らしているのは驚くばかりです。

この優れた教材を専門講師が3年間、しかもとても頭が柔らかい子供時代に指導するのですから思考力が身につき頭脳が良くなるのは当然かもしれません。
私個人的には、中学受験をする・しないに関わらずどの子供達にもこの優れた教材を使って学習をして欲しいと思います。

何故なら中学~高校と進学するに当たって、この優れた教材を使って小学時代に学習したことはかなり今後の「理論的に考える力」「数学力」になるからです。
実際に2022年度の共通テスト(数ⅡB)では、高校数学で習う数列と中学受験で小学生が学ぶ旅人算を絡めた内容が出題されました。
私が指導をしていた高校生(中学受験の経験無し)は数列には理解できていましたが「旅人算(グラフ)」の考えに気づかず共通テスト大問の(1)から失点でした。一方、試しに小学6年生の教え子に解かせてみたら当然高校数学の数列(漸化式を使った解法)の問題は解けませんでしたが、旅人算(グラフ)の問題は解け大問の(1)は正解したと言う衝撃的な思い出があります。

2023年度の共通テストでも数学ⅡBで複利計算と漸化式を絡めた問題が出題され、貯蓄や投資に興味がある生徒には仕組みがよく分かり有利に働いたでしょう。
以前のセンター試験とは違い共通テストでは高校数学の知識だけでなく、中学数学いや小学算数の学習、更には数学知識だけでなく日常の社会経済が絡み合った内容までもが出題されていることからも小学生時代からの奥深く考える力や様々な事象に興味・関心を持つことが今後の学習に如何に大切か!を実感しています。

繰り返しになりますが、大手中学受験進学塾が制作している教材は日常生活に密着した内容であり且つ公式を出来る限り駆使することなく線分図や図案を描いて考えさせる学習で、確実に「子供の頭を良くする」ことは間違いありません。

しかし、最近の中学受験進学塾の講師の指導法や学習法を見ていて私が小学時代に指導を受けたプロ塾講師の指導法とはかなり差異があると実感します。
時代の変遷と共に指導法も移行していくのは勿論納得出来ますが、「中学受験の学習は思考力を身に付ける」と断定出来ない指導法になりつつあることを危惧して止みません。



どういうことか?具体的に例を挙げてみましょう。

【小学4年生で学ぶ数列の問題】
『あるきまりに従って、以下のように数をならべます
3、9、15、21、27・・・・・
(1)左から20番目の数はいくつですか?
(2)左から順に20番目の数まで加えると、その和はいくつになりますか?』

実はこの数列の問題は高校数学でも学びます。
高校数学では
数列の一般項の求め方=初項+公差×(n-1)という公式で学びます。

同じ問題を小学算数では
9~3の差は6、15~9の差も6、21~15の差も6・・・・・
つまり、6ずつ増えた数字が並んでいます。
20番目の数は6を何回増やした数かというと、1番目から20番目までは間の数は19個だから(植木算より)19回増やした数=19×6=114
しかし3からスタートしているから3を加えて114+3=117

いかがでしょうか?
高校数学で初項a、公差d、nを自然数とする一般項an=a+(n-1)dと難しく学び、意味も分からずこの公式に代入して解く高校生が多い中、小学算数ですでに高校数学の公式の意味を理解して解く学習を身に着けています。
結果、高校で数学を学習する時には全く一般項などの公式は必要なく簡単に解答が出来るのです。

更に(2)では高校数学では等差数列の和Sn=項数/2×(初項+末項)といかにも難しく見える公式を学習します。
しかしこの数列の和の公式も(ここでは割愛させていただきますが)小学算数の教材には「何故こうなるのか?」がしっかり解説されており、“通常は”塾でも講師が図案で詳しく指導してくれます。
そのため高校入学後、数学で学習する数列は全く新知識ではなく当たり前のこととして授業を受けられました。

中学受験で学習した生徒は明らかに高校数学の数列では、数列の本質の意味が理解出来ており公式を記憶していなくても自分で組み立て解法する力を身に着けていたのです。



しかし昨今の塾指導にも異変が生じていると感じます。(全ての塾に該当するワケではありません)
私が指導する大手塾に通塾している生徒の中には、平気で「□番目は初めの数+公差×(□-1)だから・・・・」と得意気に公式を唱えて代入して求める子供が多く見受けられるようになりました。

「塾講師自身、中学受験経験が無い」「公式で覚えさせた方が効率的」「公式の意味を解説する授業時間が無い」など様々な理由が考えられますが、これでは中学受験の学習をしても「論理的思考力」は全く身につきません。

身につかないどころか、「自分は高度な公式を知っている」「高度な解法を知っている」といった自尊心ばかりが募り、更に「公式を記憶することで算数(数学)が出来るようになる」と錯覚を起こし、更に更にこれが習慣化すると、中学、高校と進学するにつれて「解法テクニックの記憶頭脳」化してしまい、飛んでもなく「論理的思考力」が欠け「考えること」自体が分からなくなると言った悪化の一途を辿る羽目になりかねません。
『絶対に避けたい指導』と言えるでしょう。

中学受験の指導法に於いて、数列だけでなく多くの単元でこの危険性が目立つようになってきました。
折角、塾が長年にわたって苦労を重ねて制作した優れた教材もこのような学習法では意味がありません。
典型的な具体例を少し挙げましょう。

先ずは「場合の数」です。
【1.小学5年生で学ぶ場合の数の問題】
1.『A.B.C.D.E.F.の6人の班で班長と副班長を1人ずつ選びます。班長と副班長の選び方は何通りですか?』
2.『A.B.C.D.E.Fの6人の中から2人の日直を選びます。選び方は何通りですか?』

これらの場合の数の問題は高校数学で順列(P)、組み合わせ(C)で学習します。
小学算数では嘗ては先ず一度樹形図を書かせて数えるところから学びました。
そして、1.と2.の問題の違いを実体験して「2.の問題では何故÷2をするのか?」を理解させる指導法でしたが、最近は塾講師が平気で「1.の問題は6P2だから6×5の30通りだね」「2.の問題は6C2だから6×5÷2×1の15通りだね」と指導をしている機会を見受けます。

生徒は「P?C?」「なぜCだと÷の?」と不思議に思うもスルーして学習します。
2.の問題で私の塾では一度生徒に樹形図を書かせます。
すると「あっ!2回同じものを数えている~」と子供は実感し『なぜ2.の問題は2で割らなければいけないのか?』が理解出来るのです。
が、このような実体験からの気づきを与える講師の指導が薄れている危機感を感じます。

更にこんな実例もあります。

【2.小学6年生で学ぶ「速さと比」の問題】
『A君は毎朝同じ時刻に家を出て学校へ行きます。分速90mで歩くと8時25分に着きますが、自転車に乗って分速300mで行くと8時11分に着きます。A君が毎朝家を出る時刻は何時何分ですか?』

実はこのような問題も中学数学の“方程式”の単元で応用問題として学習します。
が、方程式を学習していない小学生の算数では本来、以下のように指導をすることで子供の「論理的思考力」が身につきました。

【指導者】
「歩きと自転車では速さの比は何対何ですか?」
【生徒】
「90m/分:300m/分だから3:10」
【指導者】
「そうだね~!簡単に言えば1分間に歩きだと③、自転車だと⑩進めるってことだね!」
「だとしたら、同じ距離を歩くのと自転車だとかかる時間は何対何になるのかな?」
【生徒】
「う~ん?歩きの方が少ししか進まないから、沢山時間がかかるよね!そっか!その比の逆でかかる時間の比は歩き:自転車は10:3 」
【指導者】
「そうそう!同じ通学路を歩くと時間は10かかり、自転車だと3で到着するってことだね」
「つまり、歩くのと自転車では10―3=7の時間差があるってことになるね」
「だとしたら、今同じ通学路を歩きと自転車では25分-11分=14分の差があるってことだから、この7が14分。1は2分って分かりました。」
「歩きにかかった時間は10だから10×2分=20分かかったことになるね。家を出る時間は20分前の8時5分が正解」

いかがですか?
嘗てはこのように公式を駆使することなく、頭でイメージをして(慣れれば)計算すらすることなく簡単に解答に誘導する指導がなされてきました。
しかも、一つ一つ理論的に考える思考力を楽しみながら導いていきました。

更に、公式を駆使せず小学算数なら以下のようなユニークな解法も出来ます。
【指導者】
「歩きと自転車は同じ通学路だから、仮に自分で距離を○mと設定してみましょう」
「1mでも100mでも良いけど、1分間に90m、300m進むってことだから計算しやすいように900m(90と300の最小公倍数)に設定してごらん!」
「90m/分の歩きだと何分かかる?自転車だと何分かかる?」
【生徒】
「歩きだと900m÷90で10分、自転車だと900m÷300で3分。差は7分。あっそうか!今14分の差だから距離が2倍。通学路は1800mってことだ!かかった時間も2倍して歩きだと20分かかったってことだ」
【指導者】
「そうそう、こんな考え方も出来るね。」

このように、公式を駆使しなければ様々な考え方で解法を導くことができ「柔軟な考え方」ができる様になるのです。
この「柔軟性」が今後の「数学力」に大きな影響を与えると言っても過言ではありません。

ところが最近の塾では
「歩く時間を□分、自転車の時間を(□-14)分と置きます。同じ距離を進む時間の比と速さの比は反対になるから、歩き:自転車の速さの比は90:300=3:10が反対になり・・・
歩きにかかる時間:自転車にかかる時間=10:3=□:(□-14)
3×□=10×(□-14)
3×□=10×□-140
7×□=140
□=20  
「歩きにかかった時間は20分ですね」
このような指導を受けている生徒を多く見受けるようになりました。
これは中学生の方程式による解法です。

『中学生の先取り指導を受けることは受験に有利』と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは小学時代の「自分で考える力」を身に着けてこそ意味があることであり、まだ算数の力が完璧でない子供にこのような先取り学習をすることは益々「考える力」を阻止することになりかねません。

このような「公式を組み立てる」学習法が小学時代から習慣化すると現象を頭でイメージすることが全く出来なくなります。
現象が頭でイメージ出来ないと、中高生での理数系科目は先ず出来なくなります。
ほぼ数学が苦手な生徒は公式を組み立てることにばかり執着し、現象をイメージして考える力が身についていないことに原因があります。
これは小学時代からの「考える力」を育ててこなかった点に問題があると言っても過言ではありません。

そして恐ろしいことに考える力が乏しい生徒は、中学~高校数学と難しくなればなるほど
公式に依存した学習法に傾いていきます。
「どの公式を使えば解けるのか?」にばかり執着し、遂には「解法のテクニックの記憶頭脳」化し中高時代の理数系科目に苦戦する結果になることは明らかです。

「考える力」を身に着けるには、
『出来る限り公式を教えない・使わない』
『実践して「何故そうなるのか?」に気づかせる』
塾講師がこの点に徹した指導法をすることが大切と感じます。

また最近は
・線分図や図案を書かない
・ノートが中高生のように綺麗に公式が羅列している
・棒人間などを書いて問題の現象を絵でイメージしない
生徒を多く見受けます。
算数の現象をイメージするには絵、図案、線分図をあれやこれやとノートに書きまくることで理解が深まり、「考える力」が育成されるのです。
この作業なくして「思考力」は決して身につきません。

このような学習法がもし習慣化していないなら、通塾している講師の指導法を今一度見直してみましょう。
折角素晴らしい教材があるにも関わらず、指導法を誤ると思考力を身に着けるどころか「解法テクニックの記憶頭脳」ばかりを育成してしまい、これが厄介なことに中学~高校にまで影響を与えかねないことに親御さんも注意が必要です。

『同じ教材で学習をしていても、指導法で子供の思考力に雲泥の差が生じる』のです。

「塾で学習しているから大丈夫」と過信しないで、時には「どのように学んでいるのか?」「どのような指導を受けているのか?」実際にノートを見て指導法を確かめるなどに努めて欲しいと願います。
繰り返しになりますが
『中学受験の学習は教え方次第!思考力に雲泥の差が生じる!』のです。

2023年8月22日 : 間違えるな!中学受験・秋からするべきこと
『間違えるな!中学受験・秋からするべきこと』

(注)こちらの投稿は
・中学受験生の中でも小学6年生の受験生対象
・私は算数・理科専門講師ですので算数、理科に特化した内容
でありますことをご了承下さい。(小学4~5年生対象の解説はまた改めてお伝えしたいと思います。)

中学受験生、殆どの小学生が夏休み中「塾の夏期講習漬け」で過ごしたことだと思います。
予定通り満足した学習ができた人、思ったよりも出来なかった人などそれぞれでしょう。

また、夏休み明けの公開テストはいかがだったでしょうか?
・夏期講習の成果が顕著に現れて成績アップした生徒
・手応えを感じて自信に繋がった生徒
一方
・思ったよりも成績に結果が出なかった生徒
・頑張って夏期講習に通ったにも関わらず“期待はずれ”に落胆の生徒
・夏休み前と全く変化が無く、これからの受験勉強に少し自信を失った生徒
などそれぞれだと思います。

どうであれ結論から申しますと、ほぼ夏期講習の成果は「期待していた程“結果が顕著に現れていない”生徒が多い」ということです。

理由は
進学塾の夏期講習の内容は殆どのカリキュラムが 
『全ての単元を総まとめする』授業だからです。
夏期講習前に学習した6年生1学期までの単元(カリキュラム)が全て“ほぼ完成”している生徒には夏期講習の“総まとめ”授業は自分の完成度の再確認が出来、充実した学習になりました。
しかし、そうではなく6年生1学期までの(単元の)完成度が低い生徒にとっては、理解が定着していないにも関わらず、理解しているものとして塾の講師から“総まとめ”の指導を受けても「曖昧な授業」「何となく参加した」結果で終了したことでしょう。

残念ながら、6年生の夏期講習までにほぼ(カリキュラムが)完成し、塾講師の“総まとめ”の授業を完璧に習得出来る生徒は少ないのです。
・何となく「こんなこと以前学習したなぁ」
・「前もこの単元は分からなくてテスト悪かった」
・「この単元苦手~」
このような生徒から中には
・「全く分からない」
・「こんなこと以前習ったっけ?」
と初めて学ぶ感の生徒もいます。

このような状況で夏期講習の“総まとめ”的な授業に参加していても理解は深まらず結果、夏期講習後の公開テストで成果が出ないのは当然と言えば当然の結果と言えます。

つまり、夏休み後の成果に期待を膨らませて高額な費用を支払って長い夏休みを全て費やした夏期講習は、上辺だけの学習で理解が深まらないで終わった傾向にある生徒が多いのです。

この長い夏休みを如何に効率良く学習し、夏期休暇後の公開テストで成果を上げるか!には
①各単元の完成度を分析
夏休み前迄のテスト結果から各単元の完成度を分析する。
例えば
・割合の単元は、ほぼテストで正解しているから理解度は完璧
・図形の分野は、テストでの正解率が7割程度だからまだ不十分
・速さの単元は、テストでいつも点数を落としている
など
何処で得点を落としているのか?
何の単元が苦手なのか?
を夏休み前にしっかり分析をしておく。

②苦手単元を徹底的に指導
・何処で躓き、何処から分からなくなったのか?詳細な分析
・線分図、図案を書いて解く解法の定着
・類似問題で繰り返し演習
・理解定着後、発展問題で応用力をつける

③計算、一行問題などの基礎トレーニング演習
・一行問題、基礎問題の演習で、解法スピードを上げる
などの学習を夏休み休暇中にしておくべきでした。

しかし、これらの事項は生徒一人一人が千差万別であり塾側ではとても対処出来ないのが現状です。
なので“総まとめ”として広く浅くの授業を行い全ての生徒に配慮した夏期講習が開催されました。(が、結局のところ先述の通り、理解度は深まらず上辺だけの学習で終了した感は拭えません)

このような経緯が原因で、夏休み後の公開テストで「期待はずれ」の結果になっている生徒が多いと言えます。

更に、この「期待はずれ」の成績が生徒や親御さんを2学期以降悩ませます。
いよいよ秋以降は“志望校対策”などのフレーズが塾側から聞こえ始めます。
① 志望校を目指すには、“塾の志望校対策”を受講するのが不可欠。
② その為には自分の志望校対策をしてもらえる〇〇コース(クラス)に席を確保しなければいけない。
③ その為には〇〇コース(クラス)を確保出来るだけの成績を塾の公開テストで獲得しなければならない。

塾によっては9月~11月の公開テスト(〇〇〇育成テスト、〇〇〇実践テストなど)でクラス編成がありますので親子共々この公開テストに神経質になり、必死になって公開テストに向けて勉強をする生徒が秋以降増えます。
が、実はこれが入試に大失敗する原因になりかねないということです。
結論から言えば
『秋以降、塾の〇〇コース(クラス)はどうでも良い』
ということです。

夏休み迄は、上位コース(クラス)を目指して学習することはモチベーションアップに繋がり、目標にもなり推奨します。
しかし秋以降は、〇〇コース(クラス)云々よりも
『如何に志望校に合格をするか』にベクトルを大きく向けることが大切なのです。

でも『塾の〇〇コース(クラス)に席を置かないと志望校対策をしてもらえないから・・・・』
と、コース(クラス)編成の重要性を唱えられる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、率直に言えば貴方の志望校対策を塾が完璧にすることは皆無に等しいと言うことです。(難関コース、貴方の通っている塾が看板にしている中学校を志望するなら多少は期待出来ますが)

塾の志望校対策は、同程度の偏差値の中学校の過去問を“部分的”に解いていく授業になります。
詳しく言えば、偏差値50~55のコース(クラス)に在席する生徒は、貴方の志望校の過去問を演習すると言うよりも、偏差値50~55の生徒が目指す様々な中学校の過去問を“部分的”に指導をしていく授業であると言うことです。
決して貴方の志望校の過去問“のみ”徹底的に指導をしてくれることはありません。

『志望校と同レベルの中学校の過去問演習を塾が指導をしてくれるなら十分!』
と判断される親御さんもいらっしゃるでしょう。
しかしその考えは甘く、これまでこの塾の対策で合格を逃す羽目になった生徒も少なくありません。

理由は
① 同レベルの中学校とは言っても各々の中学校で入試の出題傾向が全く違うからです。
詳しく言えば、例えば貴方の志望校A中学校では問題数は少ないが、試験内容の難易度が高く、時間をかけて思考力が問われる問題が出題される傾向が高い。
一方同レベルのB中学校では問題数は多いが、試験内容の難易度は平均的であり、解くスピードと正確性が合否を決める問題が主に出題される。
など、同レベルの中学校でも全く各々出題傾向に大きな差異があるということです。

A中学校を志望する生徒がB中学校の過去問演習をしていても、何も自分の志望校対策にも、合格を勝ち取る対策にもならないのです。
A中学校の対策には様々な難問を思考する忍耐力が必要ですし、B中学校の対策にはスピード感と正確性が必要です。

② 先述の通り、塾の志望校対策とは言っても、貴方の志望校の過去問を“全て”解説されることはほぼ無いからです。
塾の過去問対策の授業は“部分的”にしか貴方の志望校の過去問を演習、解説をしてもらえません。(難関中学校や塾の看板とする中学校は除く)
理由は〇〇コース(クラス)と言っても30名程在席する塾生各々志望校は千差万別であり、一人一人に合わせて対処することが不可能だからです。

本来過去問演習とは
① 試験時間を厳守して本番の気持ちで解けるところまで全て解いてみる
② 解けなかった問題、間違った問題を再度自分でやり直してみる
③ ②で分からなかった問題を塾講師に指導してもらい徹底的に理解する
④ この①~③の手順で志望校の過去問10年間分を解く
⑤ ①~④を3回繰り返す(理想は1回目:10月、2回目:12月、3回目:入試直前)
ことを意味します。

そして、過去問対策とは
・時間厳守で解くことで、志望校の試験の時間配分を自分で習慣付ける。
 つまり、大問1には5分、大問2には10分など自分である程度目安をつける。
・過去問10年間分を解くことで、志望校の試験内容の傾向が分かる。
 つまり、10年間分の過去問を吟味すると大まかに志望校の出題傾向が見えて来ますので、その単元を徹底的に演習する。
・過去問を3回繰り返すことで、志望校の試験内容や傾向、解法の特徴などが頭ではなく身体に染み付き、試験本番に「こんなはずではなかった」と言った失敗が避けられる。
ことを意味します。

しかし残念ながら、塾の志望校対策はせいぜい貴方の志望校の過去問1~2年分の1~2大問を演習し解説してもらえる程度で、上記のような演習、対策を熟すことは難しいのが現状です。

つまり、志望校に合格する為には
『塾の〇〇コース(クラス)に在席する』
『塾の〇〇コース(クラス)にさえ在席出来れば合格を勝ち取れる』
と言う概念は全く通用しません。

塾の〇〇コース(クラス)に在席すれば貴方の志望校で合格点が加算されるなら、大いに公開テストに力を入れて欲しいのですが、貴方の塾の成績など全く志望校の入試には関係ないのです。

更に危険なのは
塾によっては『〇〇〇判定テスト』と言った塾オリジナルの模試を実施します。
この模試は志望校の合格率を数値化し判定しますので生徒も親御さんもかなり神経質になり、模試の成績を上げる為に必死になって塾教材の勉強にばかり力を入れて学習している生徒です。
塾の模試はあくまでも“塾”の制作であり、貴方の志望校の試験は塾の制作では無いことを、しっかり念頭に入れて置きましょう。
塾のオリジナル模試は塾が企画した模試です。
志望校と出題傾向が違う問題を基準にして合格率を判定していても(目安にはなりますが・・)その判定の信憑性がどれだけあるか?は少し冷静に判断するようにしましょう。

つまり、過去問を解くと納得出来ると思いますが、過去問と塾の教材や模試では問題形式が違います。
出来る限り志望校の試験の問題形式に慣れることが、合格を勝ち取るには最重要です。
秋以降は志望校の過去問を手掛け徹底的に志望校対策に力を入れなければならないにも関わらず、いつまでも塾の教材や「〇〇〇判定テスト」に拘った学習を続け、過去問演習を軽視して年明けてから慌てて過去問に目を向けるようでは、とても合格を勝ち取ることは出来ません。


秋以降は公開テストから貴方の志望校の過去問演習、対策に大きくシフトして下さい。
塾の志望校対策とは言っても、貴方中心に塾は志望校対策をしてもらえません。
「塾の〇〇コース(クラス)に在席して、塾で志望校の過去問演習、対策をしてもらったら大丈夫だろう!」など過信するのはとても危険です。

先述の繰り返しになりますが、しっかり貴方の志望校対策は親御さんの協力のもと
① 志望校過去問10年間分を準備して、時間厳守の中解いていく。
② 解けなかった問題、間違った問題は解答を見ながら解き直しをする。
③ それでも分からなかった問題は塾講師に授業後質問する。
④ 過去問は1度ではなく少なくとも3回繰り返して(1回目は10月、2回目は12月、3回目は直前)解く
を塾に依存せず自分で進めていくことです。

秋以降、間違えてはいけないこと!
『塾の公開テストばかりに気を取られて、過去問演習、対策を疎かにしない!』
是非、参考にして下さい。


2023年7月17日 : 「なぜ?成績が上がらないのか!」間違った5つの勉強法を解説
勿論、「勉強をしない」「勉強時間が非常に少ない」「学校、塾で習ったことを全く復習しない」など勉強不足が理由で成績が上がらないのは誰もが納得が出来ることだと思います。
ここで言う『なぜ?成績が上がらないのか!』は勉強をしているにも関わらず、自分なりに努力しているにも関わらず成績が上がらない方を対象に解説します。

また、私は理数専門の講師ですので、ここでお話する内容は理数専門に着目した解説であることをご理解下さい。

【なぜ?成績が上がらないのか!】

1.“解ける問題”“解けそうな問題”ばかり解く勉強法になっている

このタイプは実は真面目で努力家の生徒に多く見られる傾向にあります。
自学で問題集に取り組みコツコツと努力をするのですが、実は“解ける問題”“解けそうな問題”ばかり綺麗にノートに解いて勉強をしている気分になっている方です。
分からない問題にチェックはするのですが、その不明な問題を“直ぐに”解決しようとはしません。
「まぁ、“後で”分からない問題は(学校、塾の)先生に質問しよう!」「“後で”問題集の解説を読んで解いてみよう!」と、とりあえずそのまま放置します。
その放置がドンドン増えていくと益々先生に多くの質問をするのに抵抗を感じたり、解説を読んでじっくりと考えるのが面倒になります。

何処か(分かる、分かりそうな)問題を手当たり次第解くことで、勉強が捗っていると錯覚しこの勉強法で成績アップに繋がると信じています。
その為に時間を掛けて分からない問題を悩み考えることを「時間が勿体無い」「こんなことやっていられない」と思ってしまうのです。
結果、いつまでも分からない問題や苦手な問題を放置する傾向にあります。

勉強は分からない箇所、単元をあれやこれやと試行錯誤をし、解説を見て時間を掛けて考えることで進歩し成績向上に繋がるのですが、その工程が無駄な時間と感じます。
多くの分かる問題を解いていることで達成感を得ているのです。

しかし、この勉強法は出来る問題と出来ない問題を“種分け”しているに過ぎません。

最後まで問題集が終わると“種分け”した分からない問題を対処することなく、次の新しい問題集に取り掛かります。
またまた分かる問題にばかり取り組み、相変わらず分からない問題は後回し!
こうして「出来る問題と出来ない問題の種分け」を繰返すのみ!を永遠に続ける勉強法です。

分からない問題に着手することはありませんので全く進歩がありません。
「こんなに頑張って勉強をしているのに・・・」という思いだけが募ります。

貴方は分からない問題を何度も何度もあれやこれやと試行錯誤をして考えていますか?

心当たりのある方は、今一度問題集の分からない箇所を徹底的に対処する勉強法に修正してみて下さい

成績アップの勉強とは“勉強量”ではなく“如何に質の良い勉強をするか!”なのです。

2.“解けなかった問題が分かった!気分”で済ませている勉強法になっている

次は分からない問題に対処するのですが、その対処方法に問題がある方です。
解けなかった問題を(学校や塾の)先生に聞いたり、解説を読んで「分かった!」で済ませていませんか?
実は1度躓いた問題は、理解出来たと思っても3度繰り返さなければ定着しません。

≪1度目≫
先生の指導を受けたり、解説を読んで理解した直後、もう一度解答を見ないで自力で解けるか!確認しましょう。
たとえここで解けたとしても油断は禁物!
この時は記憶で解けている疑いがあるからです。
≪2度目≫
3日後、再度解き直してみましょう。
解答も先生に指導してもらった時のノートも何も見ないで再度解けるか?
確認して下さい。
解けなかったり悩ましい状況ですと、まだその問題の理解は定着していません。
再度解答を見てしっかり理解しましょう。
≪3度目≫
更に10日後、同じく解いてみましょう。

このように解けなかった問題、分からなかった問題を貴方は3度繰り返して解いているでしょうか。
殆どの生徒が分からなかったり、間違えた問題を先生に教えてもらったり解答を見て「理解した気分」で済ませています。
これでは全く理解が定着しないのです。

『締めの甘い勉強法』は何となく解法のイメージは出来ているのですが、完璧な解答が得られず残念ながら試験の点数に繋がりません。

何度も何度も繰り返して解き直す地道な勉強法が大切です。

3.“根本から理解していない”上辺の勉強法になっている

そもそも『理解する』ことが分かっていない生徒です。
理解とは「物事の意味・内容を“論理的に(筋道を立てて)正しく分かること」を意味します。
・何故、そうなるのか?
・この公式が意味することは何なのか?
・この現象は何が原因で起こったのか?
・この問題はどの方向性で解いて行くべきか?
・どのように組み立てて解答を導いていこうか?
など論理的に考えることを受け付けず、知識だけで解決する勉強法が習慣になっている方です。

このような勉強法になっている方は、公式をしっかり暗記し、知識は正確に記憶していますので、基礎問題程度の問題は確実に出来ます。
また、考えず記憶で解きますので時には論理的思考が働く生徒よりも早く解答し正確です。
これが「数学得意!」と勘違いをさせ、益々この勉強法が根付いてきます。

一見勉強をしているように見えますが、実は暗記している公式に数字を代入していたり、記憶にある知識を駆使していると言った単なる手作業の勉強に過ぎません。
つまり考えていないのです。

学校の定期試験程度なら何とかこの勉強法でもある程度対処出来ますが、模試や入試などになると全く歯が立ちません。
模試を受けて初めて偏差値に落胆し、自分の理解度に疑問を感じます。

「自分は頑張って勉強をしているのに、どうして成績が上がらないのか?」
「基礎問題は出来るけど、応用問題になるとどうして出来ないのか?」
と悩んでいる方に質問です。

貴方は問題を解くとき
・「どの公式を使うのか?」と公式に拘っていませんか?
・「この問題はどのパターンだろうか?」など、記憶を辿って参考書などの知識を駆使しようとしていませんか?

もし当て嵌まると感じた方は“上辺の勉強法”になっている可能性があります。
これではいつになっても成績は向上しませんし、思考力はいつになっても身につきません。

この“上辺の勉強法”を改善するには、まず
・暗記している公式が「どのように導かれたのか?」再度公式の根本を深堀してみましょう。
・貴方の記憶にある知識を「なぜ、そうなるのか?」「この知識はどのような意味があるのか?」改めて理解してみましょう。

このように『何故か?』理屈を理解したり、現象を実体験することで
【考えるとはどういうことか?】
が徐々に実感できるようになります。
是非心掛けて下さい。

4.“理屈が分かっているから解ける!”の自信から演習問題に取り組まない勉強法になっている

今度は逆に思考力が優れ、論理的に考えることに長けている生徒です。
このような方は、イメージ出来ない事を記憶したり、公式を単に暗記したりすることが非常に苦手です。
基礎問題のような公式を駆使して解いたり、知識さえあれば解ける問題を地道にトレーニングすることを“面倒”に感じます。

勿論、このような手作業的な学習は思考力が身につくとは言えませんし、論理的思考力が身につくとも言えません。
しかし、試験には時間制限があります。
知識が豊富でそれを上手く駆使することで、皮肉にも思考力のある生徒よりも迅速に解法に繋がる場合もあります。

テストの点数アップには思考力や論理的思考力は不可欠ですが、ある程度の知識を駆使することでスムーズに解法を導き、公式を素早く活用することで効率良く解答に繋がります。
折角の思考力を持ちながら、知識不足や公式の活用不足などで他生徒と差がつかない成績評価になるのは、とても勿体無いことです。

「分かるから」「解けるから」と公式を活用する演習や知識を得る演習を軽く思わず、地道にしっかり演習問題に取り組んで下さい。

論理的思考に長けている貴方が知識や公式の活用をバランス良く駆使出来れば誰よりも最強でしょう。

5.“解ければ良い”と自我流・思い込みで解く勉強法になっている

1つの問題には約5通りの解法があると言われます。
その中で迅速に効率良く且つ“採点者が意図する解法”であることが試験では大切です。
特に記述式の答案の場合は“採点者の意図する解答”であることは必須です。

貴方は問題集に取り組んだ後、丸付けをして『合っている!』で済ませていませんか?
間違った箇所は解説を読んで直しをしますが、合っていた箇所は解説も読まずスルーする方が大半です。
しかし、それはとても危険です。
もしかしたら、貴方のその正解は
・自我流の解き方で偶々合っていた!
・相当な時間を掛けてゴリ押しで解けた!
・何となく勘が働き解けた!
・以前、同じような問題を解いた記憶を辿って解けた!
を「正解」「出来た」「分かった」でスルーしているかもしれないからです。

このような解答では試験に対応出来るとは決して言えません。
試験には時間制限があります。
ゴリ押しで時間を掛けて出来たところで成績に反映されないのです。
記憶を辿っている余裕もありません。
勘が働く余裕もありません。

また、試験採点者の意図する解き方から逸れていても、自我流で解法を導き「答えが合えば良い」と考えがちですが、ほぼこれでは高得点は期待出来ません。
その理由は
大学入試の共通テストを始め、殆どの入試問題は1行問題を除けば、問題形式が1つの大問に数個の小問がある形式になっているからです。

更に、1つの大問にはストーリー性があり順を追って解法を導いて行く形式です。
そのストーリー性は作成者の意図する解法で形成されている為に、そこから逸れて自我流で解いて行きますと方向性が狂い始め最後の問題まで正解を導いて行くのが難しくなります。

問題を解いてたとえ「正解」だったとしても、解答の解法を確認するようにしましょう。
『本当に自分の解き方がベストなのか?』

・もしかしたら、もっと優れた解法があるかもしれない
・もしかしたら、自分と違う解法をしているかもしれない
・もしかしたら、自分が知らない知識を駆使して解法を導いているかもしれない
・もしかしたら、自分の解法はゴリ押し的な解法なのかもしれない
などを疑いながら解答をしっかり読んで確認するようにしましょう。

『解ければ良い』では試験は通用せず、
いかに迅速に効率良く且つ“採点者の意図する解法”で解くか!
が大切です。

頑張って勉強をしているのに成績が上がらない!と悩んでいる方
ここに5つの問題点を挙げて解説しました。
「何処か心当たりがある!」と感じた問題点がありましたか?
あれば今日から是非改善してみて下さい。
改善、修正は面倒であり、気が進まない気持ちも分かりますが何かを変えないと今の成績も変わりません。
成績アップに繋がりますことを願っています。

2023年6月13日 : 間違えると致命傷になる!夏期講習の選び方
【間違えない!夏期講習の選び方】

6月も半ば!もうそろそろ「夏期講習どうしよう?」とお考えになる方も多いのではないでしょうか?
1ヶ月以上学校教育から離れることは、良くも悪くも子供達の教育に大きな影響を与えることは間違いありません。
「有意義な夏休みを送って欲しい」と言った親御さんの気持ちはとても理解できますし、其の為にも間違った夏期講習選びは是非避けて欲しいと思い、今回は『間違えない!夏期講習の選び方』について解説します。
参考にして下さい。

【1.夏期講習の目的を明確にする】
小学生~高校生まで日頃通塾なさっている方は当然のように塾から“夏期講習の申込書”が配付されることと思います。
そして、何の悩みもなく当然のように申込書に自署して提出し、夏期休暇は通学から通塾に移行します。
が、自署する前に今一度家庭で「夏期講習の目的」を明確にしましょう。
『何の為に夏期講習に参加するのか』です。
そして、その塾の夏期講習は本当に貴方の目的に合致していますか?

例えば、
・夏期休暇中も規則正しい生活(早寝早起き)を過ごすことが目的ならば、”午前中から授業がある”夏期講習か否か?予定表を見て吟味する。
・1学期の単元が分からず復習をすることが目的ならば、“1学期の徹底復習”をする夏期講習か否か?夏期講習の学習内容を調べる。
・苦手科目をこの1ヶ月で基礎からやり直したい!が目的ならば“苦手科目を徹底的に個別で指導”をしてくれる個別指導の夏期講習か否か?問い合わせる。
・得意科目をもっと深堀して応用知識を身に着け、入試で合格の得点源になることが目的ならば“プロ講師が指導する”レベルの高い夏期講習か否か?指導講師を調べる。
・受験生で志望校対策に力を入れることが目的ならば、自分の志望校対策を徹底的にしてもらえる進学塾の“経験豊かなベテラン講師による指導”か否か?しっかり塾に確認をとる。
などなど・・

自分(子供)は
『何の為に夏期講習に参加するのか』
目的を明確にして参加することが大前提です。
“塾生なら夏期講習に参加するのは当たり前”と言った風潮が通塾している塾にはあると思いますが、一度冷静に「この1ヶ月以上の長期休暇をこの塾の夏期講習に参加することで、自分が求めている目的は達成できる可能性が本当にあるのか否か」立ち止まって親子で話し合ってみてはいかがでしょうか。

この際、通塾していない他塾の貴方の目的に合致していそうな夏期講習に参加してみるのもよい方法かもしれません。
通塾していない方は、DMやチラシを見て安易に申込みをするのではなく、しっかり目的を明確にして客観的判断をするようにしましょう。
何となく暑い中通塾し、何となく授業を受け、何となく夏期講習も終わった!といった「何となく」の夏期学習にならないよう注意が必要です。
この1ヶ月以上の長期休暇を有効活用出来るか否かは、2学期以降の(受験生なら入試に)学習に間違いなく大きな影響を与えます。

【2.参加する夏期講習のスケジュールを確認してから申し込む】
夏期講習の目的が明確になり、その目的に合致した塾が見つかったとしても“即申込み”は避けましょう。
まず夏期講習の内容確認後、講習のスケジュールを見せてもらいましょう。
中には朝9時~夜8時頃まで(休憩時間、ランチ時間があるにしても)1日中拘束する夏期講習もありますがこれはお薦めできません。
親御さんの中には「家にいても勉強しないから塾で拘束された方が良い」とお考えになる方もいらっしゃいますが、ほぼその期待は裏切られる結果で夏期講習は終了します(これが1~2回/週ならまだ猶予ありますが)。

理由は、「家で落ち着いて復習する時間がない」からです。
つまり夏期講習で学習した内容を家に持ち帰って復習をする時間がありません。
通塾して講習を受講するのが精一杯で「講習を受けっ放し状態」になり全く身につかないのです。

日頃の塾の勉強と異なり、夏期講習は慌ただしく様々な単元を学習する傾向にあります。
次から次へとドンドン単元が変わりますから必ず家で復習をしないと学習内容が定着しません。
が、毎日夏期講習を長時間受講していると家庭での復習に余裕がなく、結局のところ「あれだけ夏期講習に通ったけど、意味があったのか?」と夏休み後、悔やまれる結果になりかねません。
費用はかなり嵩み、多額なお金と多大な時間と労力を掛けた結果が“期待外れ”にならないように注意しましょう。
“夏期講習費用は塾ビジネスの売上貢献である”と言った何処か冷静な考えを頭の片隅に持っていることが大切です。

【3.講習教材、指導講師を確認する】
次に夏期講習の教材を見せてもらいましょう。
教材を見れば、夏期講習で学習するレベル、難易度がある程度見えてきます。

生徒(子供)自身が教材を見て「へえ~こんな内容を学習するんだ!学びたい!」と魅力を感じるか否か。
これが受講するか否かの決め手になります。
「簡単そう~」という印象を受けたり、逆に「これ、さっぱり分からない!」と思えるようでしたら貴方のレベルに合っていないと思って下さい。
また、教材の内容が貴方の夏期講習の目的と合致しているか?も判断材料になります。
自分の講習目的が「1学期の復習をしたい」であるにも関わらず、教材が2学期の先取り学習でしたら全く貴方の目的から外れていますので控えましょう。

夏期講習の選び方の最大ポイントが『誰が指導をするか』です。
どんなに素晴らしい教材で貴方の夏期講習の目的と合致している塾だったとしても、指導者との相性で雲泥の差の結果になります。
夏期講習は誰の指導を受けるか!で決まると言っても過言ではありません。
必ず、指導講師を調べた上で申込をするようにしましょう。

特に、夏期講習は塾の売上に大きな影響を与えますので出来るだけ多くの受講者を募集します。
講師数が不足しがちで臨時講師としてアルバイト(中には学生アルバイトや経験不足の講師)が指導をする場合も少なくありません。
多額な費用を支払いながらも未熟な講師による指導といった悲惨な“外れくじ”を引かないように、しっかり親御さんも加わって塾側の立場を見抜くようにして下さい。

【4、大まかな授業の流れの説明を受ける】
指導講師が分かれば次に授業の大まかな流れも塾に尋ねてみましょう。
講師の指導~演習~解説~質問などの時間配分やどのような指導方法なのか?などしっかり納得がいくまで説明を受けて下さい。
中には夏期講習と言いながらも、各生徒にプリント演習をさせてばかりの自習室のような塾も存在します。
指導方法が曖昧で、時間配分が明確でないと感じたら一旦振り出しに戻ってみて下さい。

【5、夏期講習は本当に必要か?自問してみる】
最後にそもそも「夏期講習は本当に必要なのか?」です。
塾生は塾から夏期講習のチラシが配付され、親御さんは塾の面談で夏期講習の申込を催促され暗示にかかったように申込書に自署して1ヶ月以上の暑い夏、時間と費用を塾に捧げます。

しかし、『その夏期講習は本当に意味があるのか?』
・塾の皆が参加するから自分も参加しないと取り残されてしまう
・家では勉強しないから行かないより行った方がましかも・・・
・塾の講師が薦めるから・・・
・塾に嫌われたくないから・・
・講習に参加していたら勉強している感があるから
・家で学習と言っても何をしたらよいのか?分からないから
こんな気持ちが過っていませんか?

もし塾から夏期講習のチラシが配付されなかったとしても
もし塾の面談で夏期講習の催促がなかったとしても
貴方は「この夏期講習に自分から申し込もう」と決めていたでしょうか。

通塾していない方は
もし塾の夏期講習のチラシが自宅に届いていなかったとしても
もし塾の前で夏期講習開催のポスターを目にしなかったとしても
貴方はその塾の扉を開けて夏期講習の申込をしたでしょうか。

『申込を決めていた』『申込をした』ならきっと有意義な夏期講習になるかと思います。

「夏は受験の天王山」と言われるほど、受験生にとってこの夏は譲れません。
この夏は本当に大切な時間です。
その為にも
『“如何に効率良く”志望校合格に近づく勉強をするか』です。
効率良く勉強をするベストな方法は
自分の分からない箇所、苦手単元“のみ”指導者に教えてもらう方法です。
夏期講習はほぼ多くの生徒の中で同じ教材で同じペースで進められます。
極端な話、自分は理解出来ている箇所でも解説を聞いたり、自分の志望校では頻出傾向にない箇所の演習もしたり、など他生徒と足並みをそろえなければなりません。
それよりも、
予め自分で学習し、分からなかった箇所や更に深堀して指導してもらいたい箇所などを種分けして、そこだけを短時間でドンドン指導してくれるような効率性の良い勉強法をしっかり考えて夏期講習を選択して下さい。
「参加することに意義がある」「参加して満足気分」の夏期講習にならない様、特に受験生は慎重に選びましょう。
繰り返しになりますが
「皆平等に与えられた夏期休暇の時間をライバルよりも如何に有効活用するか!」が、来年の入試で多くの受験生の中、合格を勝ち取る決め手になることは間違いありません。

一方
受験生ではなく余裕のある皆さんは、自分の夏期休暇中の勉強を確立させてみてはいかがでしょうか。
・自分で切磋琢磨して1冊教材を学習してみる
・分からない箇所でも動画や参考書などでチャレンジしてみる
・得意分野、興味のあることを自分なりに調べて深堀してみる

即成績アップの結果に繋がらなかったとしても、自分で調査、研究し開拓したことは必ず後々何かに役立ち、貴方の思考力を鍛えてくれるはずです。
こちらも「友達が夏期講習に申し込むから」「参加することに意義がある」「受講しないより受講した方がまし」の夏期講習にならない様にしましょう。
皆さんにとって「有意義な夏期講習」になり、2学期以降の勉強に良い結果に繋がりますことを願っています。